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2006年1月4日水曜日

双曲関数の由来

\large\frac{e^x-e^{-x}}{2}\large\frac{e^x+e^{-x}}{2}\large\frac{e^x-e^{-x}}{e^x+e^{-x}}をそれぞれ双曲正弦(hyperbolic sine)関数\sinh,双曲余弦(hyperbolic cosine)関数\cosh,双曲正接(hyperbolic tangent)関数\tanhとして定義されていて,windows の電卓(表示(V)→関数電卓(S))で,□Hypにチェックを入れてから「sin」などのボタンを押せば値が計算されるようになっている.
まぁ定義だから「覚えてしまえばいい」わけだが.>wikipedia
単独の\coshは「カテナリー曲線」といって,電線のたるみの曲線で有名でもある(高校の数学IIIにも出てくる).>wikipedia

でもなんでまた,\large\frac{e^x-e^{-x}}{2}のような指数関数の組み合わせに,三角関数の名前がついたかという歴史的な経緯の考察.
ここにまたオイラーの公式が出てくる.つまり複素数である.オイラーは偉大だ.

複素数の値を計算して,複素数が出てくる関数,つまり複素関数を考える.大学1年後期レベルかな.
z=x+yiw=u+viに対して,"w=f(z)つまりu+vi=f(x+yi)となる関数である.

たとえば,w=\frac{1}{z}などという関数である.
これは高校レベルの計算で簡単に性質が突き止められ,この関数によって,z平面の直線z=x+i(つまり直線y=1)がw平面の円に写ることがわかる.
実際,高校の数学IIやBレベルの計算で
w=\frac{1}{z}=\frac{1}{x+i}=\frac{x-i}{(x+i)(x-i)}=\frac{x-i}{x^2+1}=\frac{x}{x^2+1}+\frac{-1}{x^2+1}i
となるので,w=u+viと対応させると
u=\frac{x}{x^2+1}v=\frac{-1}{x^2+1}
この式からxを消去する.
u=\frac{x}{x^2+1}=\frac{-1}{x^2+1}(-x)=-vx
両辺2乗し
u^2=v^2x^2
x^2+1=\frac{-1}{v}よりx^2=\frac{-1}{v}-1を代入して,
u^2=v^2\left(\frac{-1}{v}-1\right)
u^2=-v-v^2
u^2+v^2+v=0
これは円である.平方完成して,
u^2+v^2+v+\frac{1}{4}=\frac{1}{4}
u^2+(v+\frac{1}{2})=\frac{1}{4}
より中心(0,-\frac{1}{2})=-\frac{1}{2}i半径\frac{1}{2}とわかる.

この式変形は実は数学Bの複素平面の図形の知識を使えば,もっと簡単.
つまり,直線z=x+iは2点2iから等距離にある図形なので,
|z|=|z-2i|
と書ける.w=\frac{1}{z}よりz=\frac{1}{w}と置き換えれば,
|\frac{1}{w}|=|\frac{1}{w}-2i|
\frac{1}{|w|}=\frac{|1-2iw|}{|w|}
1=|1-2iw|
|2iw-1|=1
\frac{|2iw-1|}{|2i|}=\frac{1}{|2i|}
|\frac{2iw-1}{2i}|=\frac{1}{2}
|w-\frac{1}{2i}|=\frac{1}{2}
|w+\frac{1}{2}i|=\frac{1}{2}
よりwの表す図形は点\frac{-1}{2}iからの距離が\frac{1}{2}である図形.つまり円であることがわかる.

さて,この直線z=a+iy(つまりx軸に垂直な直線x=a)を三角関数で写すと,双曲線や楕円になるのである.(ちなみに指数関数では円や直線)
w=\sin z
という関数で直線を写してみる.
複素数の三角関数はオイラーの公式を頼りに式変形する.
オイラーの公式:e^{ix}=\cos x+i\sin x
公式のxを複素数z-zで置き換えた式を作る.
e^{iz}=\cos z+i\sin z
e^{-iz}=\cos(-z)+i\sin(-z)
\sin(-\theta)=-\sin\theta\cos(-\theta)=\cos\thetaなので,
e^{iz}=\cos z+i\sin z ……(1)
e^{-iz}=\cos z-i\sin z ……(2)
(1)+(2),(1)-(2)で,\cos z\sin zが残る.
(1)-(2)より
e^{iz}-e^{-iz}=2i\sin z
\sin z=\large\frac{e^{iz}-e^{-iz}}{2i}
\sin z=\large\frac{-e^{iz}+e^{-iz}}{2}i
これでx軸に垂直な直線x=aつまり,任意のyのとき直線z=a+iyがどう写るか.iz=i(a+iy)=ai-yを代入して,
\sin z=\large\frac{-e^{ai-y}+e^{-ai+y}}{2}i
\sin z=\large\frac{-e^{ai}e^{-y}+e^{-ai}e^y}{2}i
定数を計算する.
e^{ai}=\cos a+i\sin ae^{-ai}=\cos(-a)+i\sin(-a)=\cos a-i\sin a
ここで計算を簡単にするために定数a=\frac{\pi}{4}とする(つまり直線x=a)と,
e^{ai}=e^{\frac{\pi}{4}i}=\cos\frac{\pi}{4}+i\sin\frac{\pi}{4}=\frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{2}}i=\frac{1}{\sqrt{2}}(1+i)
e^{-ai}=e^{-\frac{\pi}{4}i}=\cos\frac{\pi}{4}-i\sin\frac{\pi}{4}=\frac{1}{\sqrt{2}}-\frac{1}{\sqrt{2}}i=\frac{1}{\sqrt{2}}(1-i)
よって,
\sin z=\large\frac{-\frac{1}{\sqrt{2}}(1+i)e^{-y}+\frac{1}{\sqrt{2}}(1-i)e^y}{2}i=\normalsize\frac{1}{2\sqrt{2}}(-(1+i)e^{-y}+(1-i)e^y)i
これを実部と虚部に分ける.
\sin z=\frac{1}{2\sqrt{2}}(-(i-1)e^{-y}+(i+1)e^y)
\sin z=\frac{1}{2\sqrt{2}}(e^y+e^{-y})+i\frac{1}{2\sqrt{2}}(e^y-e^{-y})
つまりw=u+viと対応させれば,
u=\frac{1}{2\sqrt{2}}(e^y+e^{-y})v=\frac{1}{2\sqrt{2}}(e^y-e^{-y})
となる.yを消去する.
u^2=\frac{1}{8}(e^{2y}+2e^ye^{-y}+e^{-2y})=\frac{1}{8}(e^{2y}+e^{-2y}+2)
v^2=\frac{1}{8}(e^{2y}-2e^ye^{-y}+e^{-2y})=\frac{1}{8}(e^{2y}+e^{-2y}-2)
より,
e^{2y}+e^{-2y}=8u^2-2=8v^2+2
8u^2-8v^2=4
2u^2-2v^2=1
これは双曲線(高校の数学C)である.
そして,この双曲線の\sin\frac{\pi}{4}などに由来する定数を除いた横軸のパラメータを表す,\large\frac{e^y+e^{-y}}{2}を双曲余弦関数\cosh,縦軸の\large\frac{e^y-e^{-y}}{2}を双曲正弦関数\sinhと名づけたのだろう.

ちなみに\sin zy軸に垂直な直線x+aiなどを食わせると,楕円になる.そのかわり\cos zの方が双曲線になる.

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