2001年8月31日金曜日

教員免許

教科情報の教員免許の講習会を受けたわけだが,免許の申請にはその基礎免許たる「数学の教員免許」が必要だって.
「が~ん!そんなもんなくしたよ,きっと」
で,なくしたら発行した都道府県の教育委員会に発行証明書を出してもらえばいいということで,探す気もなくはじめから,申し込むつもりだった.
千葉県から出たことないから,きっと千葉県の教育委員会だろう.

で,ちょっと気が向いて探したら,すぐに見つかった.
よくみると東京都教育委員会の発行.そうだ,大学は東京だった.
面倒なことになる前にみつかってよかった.
自分の教員免許を見るのは,16年前郵送されてきたときと,採用されたときに提出した時に続いて,3度目なのでした.

2001年8月29日水曜日

新教科「情報」現職教員等講習会報告書 学習指導案

報告書1 報告書2 報告書3 学習指導案

TeX ソース タイプセットしてご覧ください
======================================
\documentclass[a4paper,12pt,fleqn]{jarticle}

\usepackage{emathP} %% http://homepage3.nifty.com/emath/

\topmargin=-10mm
\textheight50\baselineskip
\title{
\begin{flushright}{\footnotesize 受講番号 B217}\end{flushright}
\\
\vspace{3cm}
2001年度 \\
新教科「情報」現職教員等講習会 \\
学習指導案}\\
\vspace{3cm}
\author{
\begin{tabular}{ll}
科     目 & 情報C\\
\\
項     目 & (1)ア 情報のディジタル化の仕組み\\
\\
\\
\\
\\
\\
提  出  日 & 2001年8月29日\\
\\
提出者職・氏名 & 教諭 氏家 悟 \\
\\
所     属 & 県立東葛飾高校
\end{tabular}
}
\date{2001年8月29日}
\pagestyle{plain}


\begin{document}
\maketitle
\newpage

\noindent
\textbf{\large 項目名}

\begin{tabular}{ll}
(1)& 情報のディジタル化 \\
ア & 情報のディジタル化の仕組み
\end{tabular}

\noindent
\textbf{\large 目 標}

文字データ,画像データ,音声データ等様々なデータがあるが,
それらが,どのようにしてコンピュータで扱えるディジタル情報になるかを学ぶ.


\noindent
\textbf{\large 指導計画}

\begin{description}
\item[第1時]2進数表現,論理計算

コンピュータのデータ表現の基礎である2進数について学ぶ.
簡単な論理計算を2進数で行う.
\item[第2時]コンピュータ内部の整数,実数の表し方,半加算器

簡単な論理計算により,加算ができることを学ぶ.
この際,あまり専門的な知識に深入りしないように留意する.

整数と実数では内部のデータの持ち方が違うこと,
実数には丸め誤差が生じることを学ぶ.
(Micorsoft Access や 言語ソフトは数の型を明示的に指定する.
もしパソコンに入っていれば,その部分だけを見せても良い.)

\item[第3時]文字情報のディジタル化

互いに同じ文字コードを用いることにより,
互いに情報を共有できることを学ぶ.
特に,日本語については様々な問題があり,
実際に文字化けを体験させて,
その解決方法についても考えさせる.
\item[第4時]画像や音のディジタル化の実際

ディジタル画像,CD がどのようにデータを扱っているかを実習を通して学ぶ.

\item[第5時]通信のディジタル化

2進数によって,通信の品質が劣化しないことを学び,有用性を考える.
また,相手とうまく通信するためには,約束を取り決めることを理解させ,
ネットワークの基礎の予告にする.
\end{description}

\noindent
\textbf{\large 留意点}

あまり,専門的な内容に深入りせずに,
手作業などを含めた実習を基本として,
全体的なイメージがつかめるように留意する.

\newpage

\noindent
\textbf{\large 実施時間}

第1時/5時間 2進数表現,論理計算

\noindent
\textbf{\large 本時の目標}

コンピュータのデータ表現の基礎である2進数について学ぶ.簡単な倫理計算を2進数で行う.

\noindent
\textbf{\large 評価の観点}

10進数を2進数に変換できたか.

論理計算について理解できたか.

\noindent
\begin{tabular}{|l|l|l|}\hline
学習展開
&
学習活動
&
指導上の留意点
\\ \hline
\begin{minipage}[t]{0.13\textwidth}%
導入

(10分)
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%
コンピュータは ON, OFF の繰り返しを行っている.
これを数字の1, 0に人間が理解することで
様々な情報をやり取りしていることを理解させる.

\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%
ON を電圧5V,OFF を電圧0Vとする.
たとえば10進法を使うとすると,
0.5ボルトずつ割り当てることになるが,
ノイズに弱いことを考えさせる.

\end{minipage} \\ \hline
\begin{minipage}[t]{0.13\textwidth}%
展開

(35分)
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%
10進数は10個の数字を用いて数える.
2個の数字で数える場合どうなるかを考えさせる.

すぐに位上がりが生じることを理解させる.

\vspace{1\baselineskip}
10進数の2, 4, 8, 16を2進数に表すとどうなるか.他の数はどうか.

2進数を10進数に変換して見る.

AND計算,OR 計算,NOT計算を理解する.

電気回路のON, OFF も作ってみる.

表計算ソフトの AND, OR,NOT などの関数を使い,
複雑な論理計算をさせる.
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%

知っている生徒がいるだろうから,発表させる.

\vspace{2\baselineskip}
機械は単純作業が得意で,桁が多いことはなんともない.


公式を教えるのではなく,手作業を中心とする.

生徒の実態によっては,公式を作らせても良い.

\vspace{1\baselineskip}
はじめは手作業で理解させる.

\end{minipage} \\ \hline
\begin{minipage}[t]{0.13\textwidth}%
まとめ

(5分)
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%
2進数,10進数の変換ができたかを確認.
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%
次回,AND, OR, NOT だけで足し算ができることを学ぶことを予告.
\end{minipage} \\ \hline
\end{tabular}

\newpage

\noindent
\textbf{\large 実施時間}

第4時/5時間 画像や音のディジタル化の実際

\noindent
\textbf{\large 本時の目標}

ディジタル画像,CD がどのようにデータを扱っているかを学ぶ.

\noindent
\textbf{\large 評価の観点}

ディジタル化の方法が理解できたか.

\noindent
\begin{tabular}{|l|l|l|}\hline
学習展開
&
学習活動
&
指導上の留意点
\\ \hline
\begin{minipage}[t]{0.13\textwidth}%
導入

(5分)
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%
身の回りにある,CD, MD などのように,
音をディジタル化するには,どのような工夫をするかを考えさせる.
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%

\end{minipage} \\ \hline
\begin{minipage}[t]{0.13\textwidth}%
展開

(40分)
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%
方眼紙に曲線を描いたものを配布し,目盛りを読み取らせる.

四捨五入して,整数にする.

整数を2進法に直す.

\vspace{1\baselineskip}
整数を新しい方眼紙にプロットする.

プロットした点を滑らかな曲線で結び,始めの曲線との違いを考えさせる.

\vspace{1\baselineskip}
画面を観察させて,画像は点に色をつけていることを,理解させる.

色は三原色からなっていることを,画面の点から理解させる.

三原色それぞれの強さにより,点の色が決まる.

強さを数値化すればディジタルデータになりうる.
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%

実際のサンプリングとコーディングを手作業で行わせる.

\vspace{3\baselineskip}
実際のデコードを体験させる.

表計算ソフトのグラフ機能を使用しても良い.

方眼紙の目の荒さと正確さについて考えさせる.

虫眼鏡を事前に用意しておく.

\vspace{1\baselineskip}
よく見えないかもしれないので,
事前に拡大しておいた写真などを見せる.


ディジタル化の本質は数値化,量子化であることを強調する.
\end{minipage} \\ \hline
\begin{minipage}[t]{0.13\textwidth}%
まとめ

(5分)
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%
とにかく,数値データにする工夫さえ見つかれば,
すべてディジタルデータになる.
\end{minipage}
&
\begin{minipage}[t]{0.38\textwidth}%
今後,どんなものをディジタル化したいか考えさせてもよい.
\end{minipage} \\ \hline
\end{tabular}
\end{document}

2001年8月26日日曜日

友達

もし,友達ができないと相談されたら,「心を開いて,相手の身になってごらん.」とかアドバイスをすると思う.
相手の身になって考えるということは,心の広さや誠実に裏付けられた想像力が不可欠.

実はこれは国家間でも同様だろう.今住んでいる国は,相手の身になって考える想像力はあるのかな.
アジア諸国の心の痛みを想像できているのかな.周辺諸国と真の心の友好関係を結ぶのが,国際化の第一歩だと思うのだが,なんだか,最近ますます心を閉ざして,独善に走っている連中の声が大きいな.

2001年8月25日土曜日

追い込み

新教科情報の教員免許講習会が,金曜日で終わった.
のこりのレポート等あと2つ月曜日までに仕上げて発送する予定で,最後の追い込みに入っている.
8月10日や21日に提出したレポートはかなりオリジナリティもあり,よいできだったのだが,いまは面倒くさくなってきたもんで,非常にレベルの低いものになりそう.まぁいいか.
せっかく書いたらから始めの2つは公開するかな.

2001年8月24日金曜日

オクラホマ交通事情


アメリカの道路は大都市を除けばどこも,こういう感じ.
まず,駐車禁止の場所はない.もともと車社会なので,はじめから路上駐車できるように道路が広い.
そして,縦列駐車ではなく,頭から突っ込むスタイル.幅は取るけど止められる台数が多い.
このスタイルはショッピングモールなどの大駐車場でも同様で,どこも前から入れるように線が引かれている.
狭いところにバックで入れるという発想はないようです.

車社会を感じたのはよぼよぼのおばあさんも車を運転しているということ.おそらく50年以上前に免許を取ってから,ずっと現役だったのでしょう.
日本でおばあさんドライバーを見かけないのは,50年前は女性の運転は奇異の目で見られたから.それだけアメリカの車社会は本物といえる.

2001年8月23日木曜日

ネットワーク

この2年以内に千葉県の公立高校の普通教室すべてに構内 LAN を入れるそうだ。そして各教室にパソコンを1台以上入れて授業で使うんだって。
学校というところは古い体質を捨てきれない要因が多いから、また、ほこりをかぶることになるのかな。で、機械が壊れても「直す予算はない」となるだろうから、たぶん1年で半分は使い物にならなくなるだろうな。
壊さないために、対生徒で考えられるのは「これをするなあれをするな」だろうなー。

ネットワークというのは全体を大局的に考えられる人がいないと、単なるお荷物になる。そうなるとプロッピを持って走る方が現実的だったりする。

あ、うちの学校は大局的に見れるO橋先生がいるから、大丈夫。彼は前任校で Linux でサーバを立ち上げ、構内 LAN をデザインした人だから。
基本的にはインターネットには専用線、出口には DMZ を設ける。
当然パソコン教室からネットするから proxy は必要。

成績等の個人データは当然、アクセス制限をかけるが、そうなると「ユーザー教育」を教員にもする必要があるな。
以前、成績入力マニュアルを配ったとき、「どうしてパスワードも書いてくれないの?」と言われて唖然としたもんなー

2001年8月21日火曜日

ラベンダー

本州で栽培されているラベンダーはセビリアンブルーかフリンジラベンダーだ.花穂の大きさや香りは富良野で栽培されているイングリッシュラベンダーが最高なのだが,高温多湿に弱い.特に今年の夏はどのラベンダーにとってもつらかったのじゃないだろうか.
館山の週末ハウスにいったら,どちらも元気があってよかった.標高100mの森の中にある家だから,夜露が多いし,西日があたらないように工夫してあるから,それで枯れないのだろうな.

新教科「情報」現職教員等講習会報告書2

報告書1 報告書2 報告書3 学習指導案

TeX ソース タイプセットしてご覧ください
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\documentclass[a4paper,12pt,fleqn]{jarticle}

\usepackage{emathP} %% http://homepage3.nifty.com/emath/

\title{
\begin{flushright}{\footnotesize 受講番号 B217}\end{flushright}
\\
\vspace{3cm}
2001年度 \\
新教科「情報」現職教員等講習会 \\
報告書$\maru2$}\\
\vspace{3cm}
\author{
\begin{tabular}{ll}
区     分 & B\\
\\
項     目 & ネットワークの基礎\\
\\
受  講  日 & 2001年8月9日\\
\\
講  師  名 & 岸本 渡\\
\\
提  出  日 & 2001年8月21日\\
\\
提出者職・氏名 & 教諭 氏家 悟 \\
\\
所     属 & 県立東葛飾高校
\end{tabular}
}
\date{2001年8月10日}
\pagestyle{plain}


\begin{document}
\maketitle
\newpage

\section{   }\label{sec:0}

\begin{tabular}{ll}
報告者職・氏名 & 教諭 氏家 悟 \\
項 目 & ネットワーク\\
指導者 & 岸本 渡 \\
受講年月日 & 2001年8月9日 \\
報告年月日 & 2001年8月21
\end{tabular}



\section{目的}\label{sec:目的}
現在の情報のやり取りはネットワーク技術を抜きに考えることはできない.
インターネットはもちろんのこと,
電話や銀行のATM等,われわれの生活に深く入り込んでいる.
それゆえ,その利便性のみならず,
注意を要する点,さらには危険性まで含め理解していく必要がある.

したがって,普通教科においては利便性や安全性をよく把握するためにも,
ネットワークに関する基本的な知識,つまり「できることとできないこと」
を正しく把握することが必要であるし,
専門教科においてはその利便性と安全性を高めるための
基礎的な知識につなげるようにすべきであろう.

\section{内容}\label{sec:内容}

\subsection{ネットワークの基礎技術}\label{ssec:ネットワークの基礎技術}

広い意味では,
情報を通信相手に確実に送り届ける役目を果たすのが
通信ネットワークで,電話などもそれに含まれるが,
ここではコンピュータを主体にしたコンピュータネットワークについて考える.

ネットワークには構内のコンピュータだけをつないだ,
LAN (local area network) と公衆回線などを使用して
コンピュータをつなぐ WAN(wide area network) とがある.
WAN の代表はインターネットであるが,
現在はインターネットを使わないWAN は銀行のATM等
かなり限られた特殊な用途に用いられている.

さて,その伝送技術であるが,
ディジタル信号を正確に間違いなく伝えるために様々な工夫がなされている.

ネットワークを結ぶ物理的な経路は,
その経路ごとに規格を取り決め2点間で正確に信号をやりとりするための
情報を付加したり等の工夫がされている.
そこに載せるデータはいくつもの経路をリレーしながら届けられるわけだが,
相手を間違えないための情報を付加された形で伝送されていく.
そして,利用者はデータを互いに情報として解釈するための取り決めがある.

このように,物理的レベル,伝送にかかわる中間的なレベル,
そして利用者のレベル,
それぞれのレベルで取り決めを守ることにより情報のやり取りが実現される.

\subsection{ネットワークの構築}\label{ssec:ネットワークの構築}

われわれがユーザが直接かかわるのは LAN であるが,
その構築にあたっても,
使いやすく将来性を考えて構築することが必要となってくる.

まず,ネットワークの現状とニーズを分析することから始め,
システム設計の構築要件を設定する.

つぎに,ネットワークの論理的な構造を明らかにして,
具体的なハードウェア,ソフトウェアを決定していく.
そこには,設備の選択から,ネットワークトポロジーまで,
あらゆる要件を考慮して設計してゆく.

論理的な構造では,スター型,リング型,バス型.
ハードウェアは,より対線,ハブ,ブリッジ,ルータ,
同軸ケーブル,トランスミッター,光ファイバー,電波,
可視光線,赤外線.
ソフトウェアでは,プロトコルの種類なら,
TCP/IP,NetBEUI,IPX/SPXなどがLANの標準的なものといえる.

\subsection{ネットワークの運用と保守}\label{ssec:ネットワークの運用と保守}

運用においては,まず安定して動かなければ,
使い勝手が悪いので,安定性は基本といえる.
さらに,情報保護の観点から安全性も求められる.
運用ではこの2点はまず基本と考えられる.

さらに,高性能化,経済性,拡張性なども運用しながら,
考えていくことも重要なことといえる.

LAN などでも多数のユーザが使用する場合は,
たくさんのユーザが同時に使い始めれば極端に性能が落ちたり,
データの安全性が守れなくなることもある.
ユーザの教育も含め,運用もシステム化する必要が出てくる.

とくにセキュリティに関しては最近のネット犯罪や,
不正アクセス等,さまざまな問題があり,
個人情報などの保護は細心の注意で運用しなければならない.


\section{研究事項}\label{sec:研究事項}

ネットワークの経験がない人は,
ネットワークがなければないなりにそれを不便と思うことはないようである.
たとえばデータのやり取りなどもフロッピがあれば事足りるし,
プリンタの使用もプリンタのつながっているパソコンに
フロッピを使ってデータを持っていって行えばよいと考えているようである.

コンピュータを2台以上使い始めると,
データやプリンタなどのハードを共有したほうが良いことはすぐにわかる.
無論,フロッピや大容量のディスクを持って走れば,
苦労してケーブルでつなぐ必要もないだろうという気もしてくる.
しかし,一度ネットワークの利便性を知ると,考え方がまったく変わる.
印刷も,自分のパソコンの環境から直接できる便利さは,
体験して初めてわかるといえる.

\subsection{ネットワークの基礎技術}\label{ssec:ネットワークの基礎技術}

物理的レベルにおける取り決めは,
いわゆる「規格」と呼ばれるもので,
それこそ電球の口金や,
テレビとビデオをつなぐケーブルなど,
身の回りにたくさんの例があり,
「形や信号が合わなければ使えないだろう」
ということは誰でもわかるものである.
コンセントに電球の口金は入らないし,
映像端子に音声からのケーブルをつないでも意味はない.
同様に,電話線に光ファイバーケーブルはつながらないし,
線の形が同じでも,互いに理解できる信号でなければ,
通信はできないということは,素人にもわかる.

また,利用者レベルでも,同じ文字コードを使わなければ,
情報をやりとりできないのは,
なにもネットワークに限ったことではなく
フロッピーでのデータのやり取りでもいえることである.
そういう意味で利用者レベルの取り決めも,
何を取り決めるべきかは比較的わかりやすいといえる.

やはり,ネットワークの基礎技術で興味があるのは,
同じ線を使っているのにもかかわらず,
他人のパソコンの通信データが混入しない,
インターネットでウィンドウをたくさん開いても,
ウィンドウ間でデータが混線しないという,
中間的レベル,伝送技術ではないだろうか.

\subsubsection{OSIについて}\label{sssec:OSI}

ISO(国際標準化機構)とCCITT(国際電信電話諮問委員会)
によって決められた,
ネットワークの階層構造のモデル.
OSI階層モデルともいう.通信プロトコルを,
その機能別に7つの階層に分け,
そのそれぞれの階層で実現する機能を定義している.

コンピュータやネットワークシステムに求められる機能や
プロトコルを体系的に機能分け・分類することにより,
異なるシステム間での相互運用性を向上させたり,
新しい機能やサービスの追加・変更を容易にしたり,
既存のシステムに依存しない柔軟なシステム構成を実現することができる.
各階層間のインターフェイスやプロトコルを正しく決めておきさえすれば,
その内部での実装方法などは他の階層に影響を与えることはなく,
実現方法を変更しても構わない.
たとえば,TCP/IPプロトコルの仕様を
イーサネットや光ファイバーといった
物理的レベルから独立させておけば,
どのような物理的なデバイス上でもTCP/IPが使えるし,
また逆に,イーサネット上で,
TCP/IP以外のAppleTalkやIPX/SPXといったプロトコルを使用することもできる.

OSI参照モデルでは,ネットワークシステムを
その求められる機能別に7つの階層に分けているが,
現在のネットワークシステムやプロトコルは,
この階層構造モデルに合致するように作られていることが多い.

OSI参照モデルは,以下に示すような7つの階層からなっている.
\begin{itemize}
\item 第1層―物理層 \\
信号線の物理的な電気特性や符号の変調方法などを規定する.
\item 第2層―データリンク層 \\
データのパケット化や物理的なノードアドレス,
隣接ノード間での通信方法などを規定する.\\
TCP/IP プロトコルでは1,2層が「ネットワークインターフェース層」である.
\item 第3層―ネットワーク層 \\
ネットワーク上の2つのノード間での通信方法を規定する.\\
TCP/IP プロトコルでは「インターネット層」.
テキストではそのまま「ネットワーク層」となっていたが,
TCP/IP では「インターネット層」と呼ばれ,
そのプロトコルを「インターネットプロトコル IP」と呼ばれているようである.
これが,パソコン間でデータが混信しない工夫であるといえる.
\item 第4層―トランスポート層 \\
各ノード上で実行されている,2つのプロセス間での通信方法を規定する.
TCP/IP ではここで「TCP プロトコル」が使われる.\\
テキストでは「TCPヘッダ ポート(ケーブルの接続先)」となっていたが,
これはイーサネットで使用するハブのポートと混同した間違いである
(わかりやすくあえて教育的に間違えたのかもしれないが).\\
ひとつのパソコンには普通はネットワークケーブルは1本しかつながない.
1本しかつないでいない1台のパソコンの中で,
いくつもが並行して動いているプロセス間で通信が混信することはない.\\
プロセス間での通信方法を規定するということは,
われわれ Windows ユーザにとっては,
ひとつのウィンドウがひとつのプロセスであるので,
これが「ウィンドウをたくさん開いても,ウィンドウ間で混信しない」
工夫であるといえる.

\item 第5層―セッション層 \\
セッション(通信の開始から終了まで)の手順を規定する.
\item 第6層―プレゼンテーション層 \\
セッションでやり取りされるデータの表現方法を規定する.
\item 第7層―アプリケーション層 \\
アプリケーション間でのデータのやり取りを規定する. \\
TCP/IP では5, 6, 7層は「アプリケーション層」である.
実際ここで使われるプロトコルが,
HTTP,FTP,SMTP,POP3 等々といった
インターネットでもなじみのあるプロトコル群になる.
\end{itemize}


\subsection{ネットワークの構築}\label{ssec:ネットワークの構築}

これは「情報システム」の構築と同様な考え方でアプローチできる.
つまり,ニーズや現状を分析し,
どのようなネットワークシステムを構築すべきかを分析し,
ネットワークの設計にはいる.

われわれが直接かかわるネットワークはやはり,LAN である.
現在 LAN システムで用いられているのは「イーサネット」で,
これは,ほとんどはハブを中心としたスター型に配線されるが,
論理的トポロジーはバス型のネットワークである.
送信されたデータはすべてのノードに到達するが,
受信すべきノードだけが受信するという方法である.

つまり,CSMA/CD: Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection
(多重アクセスキャリア型/衝突検出方式)
とよばれる方法でデータをやり取りし,
トラフィック(交通量)の増加分だけコリジョン(衝突)の
発生頻度が増加して伝送効率が悪くなる方式といえる.
この方式では,事前にキャリアを確認しデータが流れていないときを
見はからって送信を行なうが,
運悪く複数の端末が同時にデータを送信したときは衝突が起こる.
この時はランダムな時間待機し, 再度送信を行なう.

最近のハブの中には「スイッチングハブ」とよばれ,
データをすべてのノードに送信せずに,
受信すべきノードだけに送信するハブも安くなってきており,
これを使えばデータの衝突は少なくなるが,やはり限度はある.

さらにたくさんのノードを増やす場合は,
「ブリッジ」や「ルータ」といった,
2つ以上の LAN を効率的に接続する機器が必要となる.

ネットワーク構築においてはこのような機器類の特性をよく理解し,
効率的で使いやすいものを考えなければならない.






\subsection{ネットワークの運用と保守}\label{ssec:ネットワークの運用と保守}

ここではやはりネット犯罪などの「影」の部分,
セキュリティ対策が重要な課題となると思われる.
もちろん,安定性や経済性,信頼性も大切ではあるが,
セキュリティが破れれてしまえば,
一切が無になってしまうからである.

特に,学校などでは個人情報が蓄積される上,
ウェブサイトの公開など,外部に情報を公開することも求められる.
とても個人レベルのセキュリティが通用する世界ではないと思う.
インターネットから生徒の成績データに
アクセスできてしまってはいけないのである.

これにはユーザ教育も欠かせない.
ID やパスワードが外部に漏れた場合,
それを使って不正アクセスが可能となる.
現在私の職場では,成績データはパスワードでロックしているが,
マニュアルを作ったときに
「なぜパスワードもマニュアルに載せてくれないのか」
ということを言われて,唖然としたことがあった.

また,よくある誤解のひとつに「自分のサイトは,
重要なファイルはないし,書き換えられても,
すぐ直せばいいから…」等々セキュリティ意識の薄いものがある.
これは大きな間違いで,
「踏み台」として他のサーバーの攻撃に使われた場合,
他のサーバーに迷惑をかけることになってしまう.
このような不正アクセスは ID やパスワードが外部に漏れたり,
パスワードを辞書にあるような文字にしたりした場合がほとんどで,
やはりユーザー教育が重要になる.

さらに,生のデータはだれでも復元できるため,盗聴がたやすい.
重要なデータをやり取りするときは暗号化するなどの対策も必要だし,
場合によってはネットワークを使わないという選択肢も考える必要がある.

\subsection{暗号技術について}\label{ssec:暗号技術について}

暗号技術は長い間,鍵を共有する「共通鍵暗号」という方法で使われてきた.
これは鍵が第三者に知られてしまうと,暗号が第三者に解かれてしまうという欠点があった.
つまり広く暗号通信ができない欠点がある.

これに対して,「公開鍵暗号」では鍵を2つ用意され,
一方で鍵をかけた場合は,
必ず他方で解かなければならないというものである.

この2つの鍵の一方を「公開鍵」他方を「秘密鍵」とする.
公開鍵はだれでも使用できるように,使用したい人に公開する.
公開鍵で暗号化した場合,暗号を解くことができるのは,
公開鍵と対になった秘密鍵である.つまり公開鍵を一般に公開して,
データを送ってもらうときは,公開鍵で暗号化して送ってもらう.
この暗号を解けるのは秘密鍵だけなので,第三者が復元することはできない.

この技術を逆に使うと「本人署名」が可能になる.
秘密鍵で暗号化したデータを復元できるのは,
その秘密鍵と対になった公開鍵だけである.
秘密鍵を知っているのは1人だけであるので,
それと対になった公開鍵で復元できるならば,
確かに公開鍵の本人が暗号化したデータであることがわかる.
これを使えば,「他人になりすます」ということを
防ぐことができるわけである.

現在,公開鍵暗号は「巨大な整数の素因数分解には時間がかかる」
という性質を使っている.
実際には1024ビットの整数,
10進数で300桁程度の整数を使っている.
これを解くにはスーパーコンピュータでも
数ヶ月かかるといわれているからパソコンでは十数年かかるだろう.
逆に,公開鍵暗号は時間をかければ解けてしまうのである.
パソコンでも本気になって何百台を同時に動かせば,
スーパーコンピュータよりも早く解けてしまうかもしれない.
したがって電子商取引などでは,解かれてしまうだろう時間よりも
充分短い時間でデータをやり取りした後は,
暗号鍵を変えるという工夫が必要となる.

また,現在の公開鍵暗号方式は暗号化と復号化には時間がかかるようで,
「共通鍵暗号方式」の共通鍵だけを公開鍵暗号方式でやり取りし,
実際は共通鍵でデータをやり取りするといった工夫もされているようである.

さらに,楕円関数論などの新しい理論を使った公開鍵暗号方式は,
暗号化,復号化の時間が格段に短く,
しらみつぶしの暗号解きの時間も以前のものより
長くかかることがわかっており,
今後の主流になると見込まれている.

\section{考察}\label{sec:考察}

ネットワークはインフラだと思う.
つまり無ければ無いなりに何とかなるかもしれないが,
あると非常に便利で生活にはなくてはならないものといえる.

インフラでは,たとえば電気,ガス,水道などがあるが,
これは昔はなくても生活していた.
ガスを引くというインフラ整備は,
それを知らない人にとっては
「森で木を切ればいいのに,なんでわざわざ苦労してまで・・・」
と考えるかもしれない.
しかし,ガスの便利さは,
現代人なら誰でもが体験しているので,
ガス無しの生活は考えられない.
ネットワーク,特にLANにもまだまだそのような
側面があるのではないだろうか.
われわれがどんなにその利便性を説いても,
使ったことのない人にとっては「べつにフロッピーで用が済む」
と言われてしまう.

しかし,そのような「フロッピー代わりのネットワーク」程度の理解では,
「フロッピー程度のセキュリティ」しか守ることが
できないことは目に見えている.
現代人が長い時間をかけて慣れてきた「ガスインフラ」も,
安全に安定的に使うためにはそれなりの教育が必要である.
今後のネット社会では,ネットインフラに対する教育がどうしても必要で,
新教科情報も重要な役割を担っているといえる.

\section{感想}\label{sec:感想}

コンピュータネットワークは,ディジタル信号のやりとり,
つまり機械同士のやりとりであるから,
人間のように類推の効くやり取りではないので,
当然データのやり取りの「取り決め」が必要になることは想像に難くない.

昔,インターネットが普及する前は「パソコン通信」というもので,
個人は情報のやり取りをしていた.
そのデータのやり取りは基本的には「無手順」であった.
簡単に言うと互いにデータの垂れ流しである.
パソコン通信会社に接続すると,ユーザのリクエストに対して,
ホストコンピュータは単純にデータを垂れ流し,
ユーザのパソコンはそれを表示するだけだった.
ユーザのパソコンも「シングルタスク」のマシンだから,
「ソフトの間でデータが混信する」などという心配ははじめからなかった.
通信ソフトがひとつ起動すると,
それ以外のソフトは使えないのだから当然である.
「無手順」であるので,電話回線の雑音などにより,
時たま文字化けというが起きたものである.
さすがに,ファイルの転送は雑音等によるデータエラーは致命的なので,
通信会社ごとにプロトコルが用意されていた.
もちろん,おそらくそれは経路情報などない,
せいぜい「誤り検出」「再送指示」程度の単純なプロトコルであったに違いない.
ホストコンピュータと個人ユーザの2点間通信なので,
経路情報は必要ないからである.

Windows で初めてインターネットを使ったときに,
いくつもの窓に別々にページが表示される様を見て,
「なるほど TCP/IP はマルチタスクの UNIX のプロトコルだ」
と感動した覚えがある.
単たるマシン対マシンの通信ではなく,
まさに「プロセス間通信」といえると思う.

また,TCP/IP の技術は「おおざっぱでいいかげん」が効を奏したと思う.
たとえば外付けハードディスクなどに使われる SCSI も
データをやり取りするという点では「ネットワーク技術」の
ひとつかもしれない.
しかし,これは仕様が厳格なため,
「コンピュータの起動時につながっていて,
電源が入っていなければならない」などの制限がある.
LAN に使われるイーサネットはケーブルをいつでもつけたり外したりできる.
これはイーサネットがCSMA/CD方式のためケーブルが外れていたら
「データの衝突」と同じこととみなすためである.
ケーブルがつながれば「データの衝突が解決」ということなのである.

それに乗る TCP/IP も経路情報とプロセスのポート番号を持っているだけである.
経路が遮断されていれば,ネットワークインターフェース層が
勝手に別の経路を更新するから,
プロトコル IP が関知することではない.
突然の経路遮断でデータが欠けても,
受信側が再送をリクエストするため,また送信する.
そのときにはネットワークインターフェース層が
新たに作った経路をたどることになる.
つまり,はじめから「経路は不安定」という前提のもとに作らた技術である.

そもそもインターネットの技術は,
冷戦時代のアメリカの軍事技術であった.
国防総省が大学に「核攻撃に強いネットワーク」を
研究させたのが始まりである.
当時のネットワークの主流は「スター型」で
巨大なホストコンピュータに遠隔地の端末がつながる形であった.
もしホストコンピュータが核攻撃をうければ,
すべての情報は流れなくなるという危険があったわけである.

それに対して,インターネットは中心となるコンピュータは存在しない.
多数のコンピュータが網の目のようにつながり,
データをバケツリレーしている.
網の目のひとつのコンピュータがダウンしても,
網の目なので,迂回ルートは複数存在する.
ネットワークインターフェース層が常にルート情報をやり取りして,
安定的な通信を実現しているといえる.

このように考えると,
学校内の LAN においても一部のシステムダウンが
全体に影響を及ぼさないような「フェイルセーフ」の考え方の導入も
必要なのではないだろうか.
中心になるサーバーコンピュータがダウンしたら,
データが取り出せないわ,インターネットもつかえないわでは,
授業や業務に当然のことながら,影響が大きい.

データを一元管理するのは大切だが,
その場合も必ず「ミラーサーバーを用意して,
重要なデータは常に自動でバックアップをとる」,
「インターネットへルーティングするサーバーも複数用意する」などといった,
フェイルセーフの考えに従ったネットワークの構築や運用が
重要であると感じた.

\section{参考文献}\label{sec:参考文献}
特にありません.

\end{document}

2001年8月15日水曜日

デザイン変更

昔は,デザインにも凝ったものだったが,デザインに凝るあまり内容が伴わないような気がしてきて,あえてチープなデザインにしてきた.
でもあまりにも情けないデザインだったので,多少凝るのを復活.今日,丸1日かかってしまった.この「労が多い割りには・・・」というのがデザインにこりたくない理由のひとつでもあった.
まぁ,あと数年はこのトップページのままだな.

企業のサイトのようにページにデザイン上の統一性を持たせられれ,わかりやすいサイトになるのだけれど,そんなことまではなかなか手が回らないや.

2001年8月13日月曜日

年記になる前に!?

書いておくかな.

先週は家族が,アメリカオクラホマの妹夫婦の家に遊びに行ってきた.

オクラホマ良いとこ一度はおいで.
ちなみに,オクラホマではオクラホマミキサーは誰も知らないそうな.
妹の住んでいるのは,シティから車で1時間のショウニー.ここはブラッドピットの出身地.
なるほど,ぶらぴは田舎くさいジーンズの似合うわけだ.
見渡す限りの牧場,牧草地.この時期,日中は40度近くなるのでだれも外に出ない.
牛も木陰で涼んでいる.
湿気がないので木陰に入るとだいぶ涼しいそうだ.
また,朝方はかなり気温が下がるそうで,なんとまぁ内陸気候.

「西部劇のならずものみたいのがたくさんいる店に入ろう」
と行ったら,さすがにピストルは持ってなかったけど,みんなカウボーイで西部劇の世界のようだったそうだ.

高校1年の娘はなかなか話し掛ける勇気が出ないようだが,妻はどんどん話し掛けたそうで,娘は
「かーちゃんなにげにすごい」
と語学力に感動していた.
「でも発音が悪くて通じてないときがあったよ.」
本人いわく.
「流暢にしゃべると,こっちがついていけない.ブロークンならあちらもそれなりに話してくれる,聞き返されたときだけちゃんと発音すればよい」
あぁなるほど.

さて,その間私はといえば「新教科情報」の教員免許の講習会に出席.
1週間,県の情報教育センターに行っておった.
さて,21日にレポートの提出の2回目,さっさとやらねば.

2001年8月10日金曜日

新教科「情報」現職教員等講習会報告書3

報告書1 報告書2 報告書3 学習指導案

TeX ソース タイプセットしてご覧ください
======================================


\usepackage{emathP} %% http://homepage3.nifty.com/emath/

\title{
\begin{flushright}{\footnotesize 受講番号 B217}\end{flushright}
\\
\vspace{3cm}
2001年度 \\
新教科「情報」現職教員等講習会 \\
報告書$\maru3$}\\
\vspace{3cm}
\author{
\begin{tabular}{ll}
区     分 & C\\
\\
項     目 & マルチメディアの基礎\\
\\
受  講  日 & 2001年8月10日\\
\\
講  師  名 & 佐々木浩志\\
\\
提  出  日 & 2001年8月29日\\
\\
提出者職・氏名 & 教諭 氏家 悟 \\
\\
所     属 & 県立東葛飾高校
\end{tabular}
}
\date{2001年8月29日}
\pagestyle{plain}


\begin{document}
\maketitle
\newpage

\section{   }\label{sec:0}

\begin{tabular}{ll}
報告者職・氏名 & 教諭 氏家 悟 \\
項 目 & マルチメディアの基礎\\
指導者 & 岸本 渡 \\
受講年月日 & 2001年8月10日 \\
報告年月日 & 2001年8月29日
\end{tabular}



\section{目的}\label{sec:目的}

昨今のIT化によって,マルチメディアは我々に身近な存在になってきた.
それゆえ,マルチメディアの捉えかたは人によって様々な捉えかたをされている.
教科情報では,マルチメディア作品を制作し,その方法や考え方の基礎を学ぶ.



\section{内容}\label{sec:内容}

\subsection{マルティメディア}\label{ssec:マルティメディア}

人によって様々な捕らえ方のあるマルチメディアを整理する.

まず,メディアには,出版,放送といった広い意味から,
フロッピディスクのような記憶媒体まで様々な場面で,
様々な使われ方をしている.
狭義のメディアは,
フロッピのような工学的な対象を言い,
広義のメディアはメディア産業のようなマクロな意味で用いている.

狭義のメディアも,表現,伝達,表示,知覚といった分類ができる.

表現メディアは,情報の記述形式,
たとえば文字コードや画像などの符号化を指す.
伝達メディアはたとえばフロッピや CD のような情報の蓄積,伝達手段を言う.

さらに表示メディアは情報の表示や伝達の手段,
知覚メディアは人の知覚の為の手段でたとえば,
文章や写真などはこれに属する.

さて,そのメディアを統合したものが,
単純にマルチメディアというわけだが,
まず,どのような情報もすべてディジタル化されるということが
統合するためのキーワードである.

かつて,文字情報や写真は出版,音声はラジオ,
動画はテレビというように情報の種類によって,
使われるべき狭義のメディアは分かれていた.
マルチメディア化とはそれらすべての情報をディジタル化することにより,
コンピュータ上に一本化され,同一レベルで扱えるようになることである.

また,通信技術の発達によりそれまで情報の発信者,
受信者が別れていたものが,
インタラクティブに情報のやり取りが可能になったのが,
現在のマルチメディアの特徴であるといえる.

さらにマルチメディアとはそのコンテンツも指す.
文字,音声,画像,動画等さまざまな手段により
最も適した形で表現されたコンテンツがマルチメディアである.

マルチメディアを実現するハードウェアの進歩も見逃すことができない.

10年前はデータのやり取りはフロッピが主体であったが,
マルチメディアの情報量は巨大なためCD, DVD といった
フロッピに変わる新しく安い媒体が開発され利用されている.

また,動画や音を扱うためのハードウェア,
たとえばサウンドボード,ビデオボード,
キャプチャー,MIDIといった機器も
マルチメディア化には必要となってくる.

さらに,作成やそれを見るためには,
ソフトウェアも対応していなければならないだろう.

表現された画像などの種類により,それぞれソフトウェアが存在し,
それぞれに利用上の利点や不都合な点がある.

\subsection{静止画}\label{ssec:静止画}

静止画は画素(色の点,pixel)の集まりとして表現されている.
それをディスプレーや紙に表示するのである.

画素を画素データのまま編集するソフトが,
ペイント系,フォトレタッチなどである.
それに対し,図形を図形のデータとして保持し,
編集するのがドロー系のソフトであるといえるが,
完成したら画素データに変換して,
汎用性を高めて使用するのが普通である.

画素データはそのままではデータサイズが大きいので,
それを圧縮して保存する技術が開発されている.
JPEG などが有名である.

\subsection{動画}\label{ssec:動画}

基本は静止画の集まりで,これはアナログ動画と同様である.
テレビは1秒に30フレームなので,
これが動画を作るときのひとつの目安になる.

静止画1枚1枚でもデータサイズが多いわけだが,
動画になると1秒間に30枚になる.
やはりこれもデータサイズを小さく圧縮する技術が開発されている.

\subsection{音}\label{ssec:音}

音は波でできている.
それを電流の波に変えたものがアナログ技術であった.
これをディジタル化することをサンプリングという.

短い時間で波の高さを測る.
その高さを数値化(量子化という)して記録する.
測るタイミングを早くし,量子化の段階を多くすれば音質が向上するが,
データサイズは大きくなる.

それに対して,MIDI は MIDI 機器やソフトが音を作り出すため,
データサイズが圧倒的に小さくなる.
当然生の音とは異なるうえ,
音源によって音のイメージがだいぶ変わる可能性もある.

\section{研究事項}\label{sec:研究事項}

マルチメディアはそれまでのばらばらに取り扱われていたメディアを,
ディジタル化によって統合したもので,
これは技術の進歩によってもたらされた情報革命である.

フロッピは「これ1枚に新聞○○ページ」などと
記憶容量を誇った頃もあったが,
動画を保存することはまず無理である.

静止画1枚,1ピクセルが24ビット(3バイト)の
色数(1677万色)を使うのが普通として,
横640×縦480ピクセルで900Kバイトを超える.
これで動画を作ると1秒で30枚なので,
1分間で180枚で165Mバイトを超える.
このように基本的にデータサイズが大きくなるのがマルチメディアである.

これを保存するためにフロッピに変わり,
CD, DVD などといったものが開発された.
しかしこれでもDVD でも15分少々の動画のみしか保存できない.
ここにハードウェアのみならず,
圧縮といったソフトウェア技術が開発され,
DVD に映画1本が入るようになった.

データを圧縮することにより,
静止画ならフロッピにも保存できるようになった.
また,このことはデータ通信においても,
データサイズの縮小は都合が良い.

動画ではさらに音声データも同時に記録するわけであるが,
音声データも基本的にはデータサイズが大きい.

音の波の高さを一定時間ごとに量子化してゆくサンプリングにおいて,
波の高さの段階数,
サンプリング時間によってデータサイズは大きく変わる.

CD の場合サンプリング周波数は 44.1kHz 16ビットの量子化で,
ステレオである.
つまり1秒間あたりのデータサイズは 172Kバイトになる.
750MバイトのCD には 74 分の録音ができることになる.

余談だが,これが電話音質の場合,
サンプリング周波数 8kHz で8ビット,
モノラルの量子化なので,1秒あたり8Kバイト弱である.
アナログ回線であっても現在の電話は電話局内でディジタル信号に変換され,
伝送されている.
つまり同様のサンプリングが行われ,
1秒に 64000bit のデータがやり取りできればいいことになる.
このディジタルデータを電話局と直接結ぶのが ISDN で,
その帯域が 64kbit というのは,音声伝達の規格が基になっているといえる.

さて,CD の例を見るまでもなく,
これを通信でやり取りしようとするとデータサイズが大きな問題となる.
ブロードバンド通信においてもデータサイズが小さいに越したことはない.
ここでも様々な圧縮技術が開発され利用されている.

音声データとはいえないが,音楽の表現に MIDI がある.
これは一つ一つの音について,高さ,長さ,音色,響き
その他をデータに持ち,
実際の音は MIDI 機器やソフトウェアで発するものである.
音声データではないので,実際の音を録音したものではないが,
データを並べるだけで音楽ができるという点では,
楽器ができなくとも作曲ができることを示している.
ディジタル化は単に便利なだけではなく,
このように様々な分野において,
敷居を下げる利点もあることも見逃せないことといえる.

さて,マルチメディアを扱うソフトウェアも,
使いやすいように様々な種類のものが出ている.
いくらディジタル化してデータが数字になっているとはいえ,
作成や編集で数値データを直接扱うことなどは到底不自然で考えられない.
やはり,静止画や動画ならその修正は画面上で行うわけだし,
音声データも音を聞きながら行うのが自然である.

つまり作成,編集ソフトウェアのマルチメディア化も当然不可欠なのである.

\section{考察}\label{sec:考察}

実際に生徒を指導する場面では,
限られた時間内にすべてのマルチメディアを深く扱うことは不可能である.
したがって,浅く扱いすべてのマルチメディアを網羅するか,
ひとつについて深く扱うかという選択になろうかと思う.
広く浅く扱うと,結局すべてが中途半端なまま終わるため,
一つだけは,深く立ち入るべきかもしれない.
しかし,そのことによって,扱わなかったメディアについても類推でき,
それなりに理解できるような,授業の組み立てを考えるべきであろう.

たとえば,静止画像の編集を深く行い,
その後,静止画像のぱらぱら漫画から動画を簡潔に説明すれば,
動画が静止画像の延長にあることが理解できるだろう.

また,たとえば,生徒の実習に取り入れられなかったメディアについては
演示にとどめるということでもよいだろう.
興味のある生徒は,
放課後や自宅などに自習できるようにすればよいのである.

さらに,マルチメディアの学習においては,様々な場面で,
総合的にマルチメディアを考察できるような配慮を取り入れれば,
知識が偏ることを防ぐことができるかもしれない.
たとえば,「ディジタル化」というキーワードによって,
すべてのメディアが統合できるということなどである.

\section{感想}\label{sec:感想}

人間の五感のうち,視覚と聴覚のメディアに関しては統合化した.
しかし,残りのひとつの触覚は,
最先端技術ではかなり研究が進んでいるようだが,
まだまだ一般に普及するには程遠いし,
味覚,嗅覚にいたってはまだまだ時間がかかりそうである.
味覚嗅覚は,分子が神経を刺激することによって知覚される.
コンピュータから分子を放出するか,
人間の味覚嗅覚神経にある種の錯覚をさせることを機械にやらせるわけだから,
単純に考えても難しそうである.

\section{参考文献}\label{sec:参考文献}
特にありません.

\end{document}