正の数 x を 0 に近づけると 1/x は正の無限大に発散する.これを
$\lim_{x\to 0}\frac{1}{x}=+\infty$
と表したりする.これは「無限大に発散する」の便宜的な表し方であって,
=の右側の∞は数ではない.変数 $\frac{1}{x}$ の状態を表しているだけである.
無限に発散する変数は1を足しても無限だから,
∞+1=∞
となるが,∞が数ならこの両辺から∞をひくことができ
1=0
になって不都合が出てしまう.
変数 x が正の無限大に発散するとは,どんな大きな数 M に対しても,
x>M
となる時である.
だから,考えられ得る最大の数よりいつも大きい状態と言えるから,「数」ではない.
さて,集合論に出てくる無限のひとつの「順序数」では,
1,2,3,……
の次の(定義を知らなければ意味は謎だが)順序数をωと表し,ωの次の順序数をω+1で表し,その次をω+2で表す.
もちろん実数の無限とは無関係の「順序数」というある特殊なものを対象にしているのだが.
濃度(基数)という名の無限なら自然数の集合の濃度より実数の濃度のほうが大きい.
順序数の濃度はどんなに無限を重ねても自然数の濃度と同じ.
で,連続体仮説とは自然数の濃度とそれより大きい実数の濃度の間に,濃度が存在する(しない?)
というもので,ゲーデルは集合論の公理に,仮説の肯定を加えても無矛盾であることを示し,コーエンは否定を加えても無矛盾であることを示したので,連続体仮説は「公理として採用するかしないか」といったレベルになる.
で,選択公理(と同値な整列定理)って便利だからよく使われるが,これを使うときは感覚的にはかなり無謀で,「そりゃ詐欺だよ,成り立たせるために作り出したんじゃん?」と思ってしまう.(整列定理と同値なZornの補題を使った極大イデアルの存在とか)
まぁ,数学なんて「成り立たせるためにうまく前提を定義したり公理を要請するもの」だからそんなもんだが.
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