(つづき)
$\sin\theta=\frac{1}{2i}(e^{i\theta}-e^{-i\theta})$
などと書くと,
$\sin\theta=\frac{1}{2i}(e^{i\theta}-e^{-i\theta})=\frac{1}{2}$
のときに,ちゃんと$\theta$が30度になってくれるの?と思ってしまうが,もちろん,この複素数への三角関数の拡張は実数を含むので,つじつまは合う.
一般に
$\sin\theta=\frac{1}{2i}(e^{i\theta}-e^{-i\theta})=\alpha$
のとき,$\alpha$(複素数)によって,$\theta$がどうなるかを見てみる.
2i倍して,
$e^{i\theta}-e^{-i\theta}=2i\alpha$
$e^{i\theta}$倍して,
$(e^{i\theta})^2-e^{i\theta}e^{-i\theta}=2i\alpha e^{i\theta}$
$e^{i\theta}e^{-i\theta}=e^{i\theta-i\theta}=e^0=1$ より
$(e^{i\theta})^2-1=2i\alpha e^{i\theta}$
$(e^{i\theta})^2-2i\alpha e^{i\theta}-1=0$
$e^{i\theta}$ の2次方程式を解いて,
$e^{i\theta}=i\alpha\pm\sqrt{(i\alpha)^2+1}$
$=i\alpha\pm\sqrt{1-\alpha^2}$
ここで,$\theta=x+yi$ならば,$i\theta=ix-y$ より,
$e^{i\theta}=e^{-y+ix}=e^{-y}(\cos x+i \sin x)$
で,絶対値は,
$\left|e^{i\theta}\right|=e^{-y}$
である.
さて,複素数$\alpha$が -1以上1以下の実数ならば,$1-\alpha^2$は0以上なので,$\sqrt{1-\alpha^2}$は実数である.
よって,$e^{i\theta}=i\alpha\pm\sqrt{1-\alpha^2}$の実部が,$\pm\sqrt{1-\alpha^2}$,虚部が$\alpha$である.
よって,$e^{i\theta}$の絶対値は,
$\left|e^{i\theta}\right|=\sqrt{\alpha^2-(\pm\sqrt{1-\alpha^2})^2}$
$=\sqrt{\alpha^2+(1-\alpha^2)}=1$
$\theta=x+yi$(x,y は実数)であるときは,
$\left|e^{i\theta}\right|=e^{-y}=1$
より,$y=0$.つまり$\theta=x+yi=x+0i$ より$\theta$が実数でなければならない.
具体的には,
$\sin\theta=\frac{1}{2i}(e^{i\theta}-e^{-i\theta})=\frac{1}{2}$
ならば,
$\alpha=\frac{1}{2}$
より,
$e^{i\theta}=i\alpha\pm\sqrt{1-\alpha^2}$
$=\frac{i}{2}\pm\frac{\sqrt{3}}{2}$
$\theta=x+yi$ならば,
$e^{i(x+yi)}=e^{-y}e^{xi}=e^{-y}(\cos x+i\sin x)$
$=\pm\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i$
より
$\left|e^{i(x+yi)}\right|=e^{-y}=\sqrt{\left(\pm\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2+\left(\frac{1}{2}\right)^2}=1$
なので,$y=0$となり,
$\cos x=\pm\frac{\sqrt{3}}{2},\ \sin x=\frac{1}{2}$
となって,$x$は実数なので,
$x=\frac{\pi}{6}$
よって,
$\theta=x+yi=\frac{\pi}{6}+0i=\frac{\pi}{6}$
が得られる.
つまり,
$\sin\theta=\frac{1}{2i}(e^{i\theta}-e^{-i\theta})=\frac{1}{2}$
などという目の廻りそうな定義式でも,
$\theta=x+0i=30^{\circ}$
ちゃんと,つじつまが合うわけだ.
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