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2007年5月17日木曜日

1の9乗根

調子に乗って,とことん行くか.酒も飲んだことだし.

5乗根で t の2次方程式,7乗根で t の3次方程式を解いたので,9乗根では t の4次方程式かな?
と思うけど,そうはならない.というのは9乗根を3乗すると,3乗根になるので,9乗根の中には
x^2+x+1=0
の解,1の3乗根
\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}
を含んでいるので,7乗根ほど難しくはない.

実際,メビウスの反転公式を使うと,
x^9-1
は1の3乗根の式
x^3-1
で割り切れることがわかり,原始9乗根は
x^6+x^3+1=0
の解である.

両辺をx^3で割り,
x^3+1+\frac{1}{x^3}=0
x+\frac{1}{x}=t とおくと,
t^3=\left(x+\frac{1}{x}\right)^3
=x^3+3x+\frac{3}{x}+\frac{1}{x^3}
=x^3+\frac{1}{x^3}+3\left(x+\frac{1}{x}\right)
より
x^3+\frac{1}{x^3}=t^3-3t
だから,方程式
x^3+\frac{1}{x^3}+1=0

t^3-3t+1=0
となる.これをまたカルダノの解法で解く.

t=u+vとおくと,
(u+v)^3-3(u+v)+1=0
u^3+v^3+3uv(u+v)-3(u+v)+1=0
u^3+v^3+1+3(u+v)(uv-1)=0
これを満たすには,
u^3+v^3+1=0uv-1=0
uv-1=0よりv=\frac{1}{u}を3次式に代入し,
u^3+\frac{1}{u^3}+1=0
両辺をu^3倍して,
(u^3)^2+1+u^3=0
これは u^3の2次方程式なので,
u^3=\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}

u^3=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}のとき,
u^3+v^3+1=0
より
v^3=-u^3-1=-\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}-1
=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}
であるから,どちらが u でも v もかまわないので,ここでは2次方程式の「±」の「+」のほうを u^3,「-」のほうを v^3 とする.

さて,これは1の3乗根なので,その3乗根を求めるということは,まさに9乗根となるわけだ.
u^3=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
=\frac{-4+4\sqrt{3}i}{8}
より3乗根のひとつは,
u=\frac{(-4+4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}
で,残りの2つは,これに1の虚数3乗根をかけた,
\frac{(-4+4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}\omega, \frac{(-4+4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}\omega^2
ただし\omega=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}とする.

これより t の解のひとつは,
\frac{(-4+4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}+\frac{(-4-4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}
x+\frac{1}{x}=tより
x^2+1=tx
x^2-tx+1=0
x=\frac{t\pm\sqrt{t^2-4}}{2}

t^2-4=(u+v)^2-4=u^2+2uv+v^2-4=u^2+2+v^2-4
=u^2-2+v^2=u^2-2uv+v^2=(u-v)^2
\sqrt{t^2-4}=u-v=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}-\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}

x=\frac{t+\sqrt{t^2-4}}{2}のとき,
x=\frac{u+v+(u-v)}{2}=u=\frac{(-4+4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}

7乗根よりかなりすっきり.これなら6個全部書ける.
u=\frac{(-4+4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}
v=\frac{(-4-4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}
u\omega=\frac{(-4+4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}\cdot\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
v\omega=\frac{(-4-4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}\cdot\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
u\omega^2=\frac{(-4+4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}\cdot\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}
v\omega^2=\frac{(-4-4\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2}\cdot\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}

1番目の数値解は 0.766044443 + 0.64278761 i
当然,cos40度+ i sin40度 と同じ.

そもそも,40度は 120度の3分の1なので,sin cos の3倍角公式を逆算して求められる.
\sin120^\circ=3\sin40^\circ-4\sin^3 40^\circ
\cos120^\circ=4\cos^3 40^\circ-3\cos 40^\circ
より,
\frac{\sqrt{3}}{2}=3s-4s^3
\frac{-1}{2}=4c^3-3c
をそれぞれ解けば得られる.

実際,これをカルダノの方法で解けば,
\sin40^\circ=\frac{(-\sqrt{3}-i)^{\frac{1}{3}}+(-\sqrt{3}+i)^{\frac{1}{3}}}{2^{\frac{4}{3}}}
\cos40^\circ=\frac{(-1+\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}+(-1-\sqrt{3}i)^{\frac{1}{3}}}{2^{\frac{4}{3}}}
が得られる.


9乗根がわかれば次は11乗根か.
x^{11}-1=0の両辺をx-1で割って,
x^{10}+x^9+\cdots+x+1=0
さらに,この両辺を x^5 で割って,t=x+\frac{1}{x}と置き換えると,5次方程式
t^5+t^4-4t^3-3t^2+3t+1=0
を解くことになる.
ところが,5次方程式は,四則計算と累乗根で表される一般解は存在しないことが証明されている(Abel)から,閉じた式で厳密解は記述できないことの方が多い.
実は,この方程式は記述可能だけど,面倒だからあきらめる.
仮に記述できない方程式であっても,代数学の基本定理により,11次方程式は最大で11個の解を持ちうることが証明されているから,閉じた式で表せなくても,解は存在する.

その値は,級数展開(開いた式)を用いて,任意の精度の数値解が得られる.1の11乗根の虚部の級数展開は
\sin\frac{360^{\circ}}{11}=\sin\frac{2\pi}{11}
=\frac{2\pi}{11}-\frac{1}{3!}\cdot\left(\frac{2\pi}{11}\right)^3+\frac{1}{5!}\cdot\left(\frac{2\pi}{11}\right)^5-\frac{1}{7!}\cdot\left(\frac{2\pi}{11}\right)^7+\cdots

数値解でカンベン.
cos(360度/11)+ i sin(360度/11) = 0.841253533 + 0.540640817 i

そもそも,7乗根の巨大な式を見ると,閉じた式で厳密解を表現する意味は全くないことがわかる.実用的には任意の精度の数値解で十分である.

3 件のコメント:

  1. よく分からないけど虚数根を座標に見せてくれたほうが理解しやすいです。エクセルもよく仕えないので五十万もする数学ソフトがあれば3D立体ディスプレーで見えますが。私がこの問題の興味はスリーの話者聴き手中立者をXYZの軸においてすれば三次元の世界が必要になる。それは時間があるためでもしも言語処理が無地間でできるのなら話者=聴き手='中立者を成立させる言語があるのではないかと思い、累乗根にまで頭か過ぎったのです。三位一体なら聴き手いらずの言語とは不可能化否や。

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  2. n乗根は正n角形に並びます.2Dで十分.

    すいません,想像力が貧弱な私には,後ろの文が理解できません.m(_ _)m

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  3. 図にしました.
    http://kurobe3463.blogspot.com/2007/05/figure-of-radical-root-of-1.html

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