2007年5月14日月曜日

1の5乗根

の質問.
1の5乗根つまり
$z^5=1$$\Leftrightarrow$$z^5-1=0$
の解.

解1
$z^5-1=(z-1)(z^4+z^3+z^2+z+1)=0$
より
$z-1=0$または$z^4+z^3+z^2+z+1=0$
解の1つは z=1
$z^4+z^3+z^2+z+1=0$
において,z=0 は方程式を満たさないので,z≠0 より両辺を z^2 で割ると,
$z^2+z+1+\frac{1}{z}+\frac{1}{z^2}=0$
$\left(z^2+\frac{1}{z^2}\right)+\left(z+\frac{1}{z}\right)+1=0$

ここで,
$t=z+\frac{1}{z}$
とおくと,
$t^2=\left(z+\frac{1}{z}\right)^2$
$=z^2+2z\frac{1}{z}+\frac{1}{z^2}$
$=z^2+2+\frac{1}{z^2}$
より
$z^2+\frac{1}{z^2}=t^2-2$
であるから,
$\left(z^2+\frac{1}{z^2}\right)+\left(z+\frac{1}{z}\right)+1=0$
$(t^2-2)+t+1=0$
$t^2+t-1=0$
ゆえに,
$t=\frac{-1\pm\sqrt{5}}{2}$

よって,
$z+\frac{1}{z}=t$
より両辺をz倍して,
$z^2+1=tz$
$z^2-tz+1=0$
$z=\frac{t\pm\sqrt{t^2-4}}{2}$

以下,複号同順で,
$t^2=\left(\frac{-1\pm\sqrt{5}}{2}\right)^2$
$=\frac{6\mp2\sqrt{5}}{4}$
$t^2-4=\frac{6\mp2\sqrt{5}}{4}-4=\frac{-10\mp2\sqrt{5}}{4}$
$\sqrt{t^2-4}=\frac{\sqrt{-10\mp2\sqrt{5}}}{2}=\frac{\sqrt{10\pm2\sqrt{5}}}{2}i$

これを
$z=\frac{t\pm\sqrt{t^2-4}}{2}$
に代入して,
$z=\frac{-1+\sqrt{5}}{4}+\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}i$
$z=\frac{-1+\sqrt{5}}{4}-\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}i$
$z=\frac{-1-\sqrt{5}}{4}+\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}i$
$z=\frac{-1-\sqrt{5}}{4}-\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}i$

解2
旧教育課程「数学B」の複素平面の知識があれば,1のn乗根は原点を中心とする半径1の円上の点1=1+0i=(1,0)を頂点のひとつとする,円に内接する正n角形の頂点に並ぶ.
1の5乗根は,点1=1+0i=(1,0)を頂点のひとつとする,円に内接する正5角形の頂点であるので,解は
$\cos0^\circ+i\sin0^\circ=1+0i=1$
$\cos72^\circ+i\sin72^\circ$
$\cos144^\circ+i\sin144^\circ$
$\cos216^\circ+i\sin216^\circ$
$\cos288^\circ+i\sin288^\circ$
である.
72度の三角比
$\sin72^\circ=\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}$
$\cos72^\circ=\frac{-1+\sqrt{5}}{4}$
であるので,
$\cos72^\circ+i\sin72^\circ=\frac{-1+\sqrt{5}}{4}+\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}i$
あとは,de Moivre で,144度,216度,288度の三角比を計算して,
$\cos144^\circ+i\sin144^\circ=(\cos72^\circ+i\sin72^\circ)^2=\frac{-1-\sqrt{5}}{4}+\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}i$
$\cos216^\circ+i\sin216^\circ=(\cos72^\circ+i\sin72^\circ)^3=\frac{-1-\sqrt{5}}{4}-\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}i$
$\cos288^\circ+i\sin288^\circ=(\cos72^\circ+i\sin72^\circ)^4=\frac{-1+\sqrt{5}}{4}-\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}i$

18度✖n の三角比
$72^\circ$ の三角比から、$90^\circ-72^\circ=18^\circ$ の三角比がわかる。
$144^\circ$ の三角比から、$180^\circ-144^\circ=36^\circ$ の三角比がわかる。
$36^\circ$ の三角比から、$90^\circ-36^\circ=54^\circ$ の三角比がわかる。

$\sin18^\circ=\cos72^\circ=\frac{-1+\sqrt{5}}{4}$
$\sin36^\circ=\sin144^\circ=\cos54^\circ=\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}$
$\sin54^\circ=\cos36^\circ=-\cos144^\circ=\frac{1+\sqrt{5}}{4}$



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2 件のコメント:

  1. 分かりました。ありがとうございます。
    くろべえ様
    分数の打ち込みは大変なのにありがとうございます。
    ルートがきれいに書いてますがIMEパッドでは無理です。またよろしくお願いします。群論も理解されてますか。私は中退なのでこのブログはレベルが違いますね^^

    返信削除
  2. 数式は TeX コマンドです.
    >群論
    一応,ゼミは環論だったからなぁー.群論くらいは使えないとね.イデヤルとかで始まってホモトピーとかもやったな・・・
    でも,まぁ私は下手の横好きですよ.わからない質問や面倒なコメントはよく無視して,怒らせてしまいます.あまり期待しないでね.

    返信削除

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