管楽器内部には定常波(定在波)が立ち,その端からは進行波となって空中に伝わる.
木管楽器は,管の途中に穴が開いていて,指でふさいだ長さで振動数が決まるのであるが,どこでふさいでも,さほど音色が変わるわけではない.
金管楽器は,管はマウスピースからベルまで完全に閉じていて,ピストンなどで管長を変える.途中に穴を開けると,音にならない.
水抜きをあけて吹いても,木管楽器のように音の高さを変える以前に,楽音にならないのである.
つまり,ベルの先端が,定常波から進行波へのインピーダンスマッチングを取っているという.
これって,金管楽器が,高い倍音を使うことと関係しているのだろうか.金管楽器では,2,3,4,5,6,7,8倍程度の倍音を演奏に使う.1倍音のペダルノートは使わない.
トランペットの管長は1.3m,木管楽器では,ファゴットの長さはそのくらいかな.
自分の,ボントロは,その2倍の長さ,さらに,F管を使うと,さらに1.5倍の長さになる.
Fホルンの管長は,ボントロのF管を使った長さと同じである.つまりホルンは4m近い長さがある.これで,音域的にはボントロの上くらいを演奏するから,4~12倍音くらいを使うのだろう.
このことがベル形状,つまり形状によるインピーダンスマッチングが,音に大きな影響を与えているのだろうと勝手に想像している.
昔は,指の穴のなる金管楽器があったようだが,どんな音だったのかな.
木管楽器のベルは飾りみたいなもので,指の穴から音が拡散しても楽音になる.
倍音もせいぜい2倍程度までしか使わない.金管楽器で言えば,楽音にならないペダルノートとその上の2倍音しか使わない感じである.
それくらいだと,ベルによるインピーダンスマッチングが要らないのかもしれない.
さらに,管楽器内部の定常波の立ち方は,フルートが開管で,クラリネットが閉管である.
フルートやリコーダーは,だいた同じ指使いでオクターブ上が演奏でき,クラリネットはオクターブキーを押すと,ドと同じ指で,オクターブ上のドより上のソが出る.つまり3倍の振動数になるのは閉管だからである.
ところが,クラリネットと大差ないサックスは,同じ指使い,つまり開管振動なのである.
昔は,それが不思議だったが,物理的には,管がテーパーになっていると,振動の節が移動するからと説明される.
金管楽器でも,マウスピース端では閉じているが,マウスピースの形状や管全体の形状がテーパーになっているから開管振動をしている.それが証拠に,倍音は整数倍である.(閉管の倍音は奇数倍)
ダイポールアンテナは,開管のようなもので,基本波の整数倍で同調するが,エネルギーの与え方は,エレメントの中ほどから給電するので,弦楽器と同じ原理で定常波を立たせている.(弦の中ほどを指ではじいたり,弓でこすったり)
管楽器と同じように,振動体の端からエネルギーを与える状態なら,ツェップアンテナのような電圧給電となる.
アンテナで閉管振動にあたるような同調アンテナはあるのかな?
開放端だから,開管振動になるというなら,ショート端なら閉管振動?
でも,何とショートするの?大地?
両端が閉じていても,弦楽器のように倍音は整数倍だから,ダイポールアンテナも両端「閉」かも?
というか,電流は両端閉だが,電圧は両端開だな・・・
そもそも,電波(光)は横波,音は縦波という違いがあるから,細かいところでは同じに議論することはできないのだろうな.
しかしアンテナというものは不思議なもので,ケーブルを進行波が進み,アンテナに定常波が立ち,それが空中に進行波となって伝わるというものである.
楽器では,はじめから定常波を立たせるから,エネルギーを進行波で与えることはない.
さらに,弦楽器や木管楽器は,無指向性アンテナのようなものだが,金管楽器はベルからその方向に進行波が出ているような気がする.
音だから,回折や反射が激しくて,どこからでも音が聞こえるが.
数学の飲み会で,話題にしたことから,帰りの電車でちょっと考えた.物理の素人だからだれもわからない・・・
今日は県の数学の研究大会.
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