任意の平行四辺形や三角形の内部の点を表す,典型的な問題について.
たとえば,三角形の2辺を2つのベクトルa,b で表したとき,三角形内部の点の位置を a,bの式で表す問題である.
例題
三角形OABについて,OAを2:3に内分する点C,OBを3:5に内分する点Dとし,ADとBCの交点をPとする.
このとき,ベクトル\vec{OP}を2つのベクトル \vec{OA}=\vec{a},\ \vec{OB}=\vec{b} の式で表せ.

みたいの.
教科書どおりなら,
PがADの内分点であることから,AP:PD=s:(1-s) とおくことができ,
\vec{OP}=s\vec{OA}+(1-s)\vec{OD}=s\vec{a}+(1-s)\left(\frac{3}{8}\vec{b}\right)
PがBCの内分点であることから,BP:PC=t:(1-t) とおくことができ,
\vec{OP}=t\vec{OB}+(1-t)\vec{OC}=t\vec{b}+(1-t)\frac{2}{5}\vec{a}
係数比較で,
s=(1-t)\frac{2}{5},\ (1-s)\frac{3}{8}=t
から s=\frac{5}{17},\ t=\frac{9}{34}が得られ,
\vec{OP}=\frac{5}{17}\vec{a}+\frac{9}{34}\vec{b}
となる.
チェバの定理・メネラウスの定理を使えば,公式にあてはめて秒殺であるが.
OPとABの交点をEとすれば

チェバの定理
\frac{AE}{EB}\cdot\frac{BD}{DO}\cdot\frac{OC}{CA}=1
\frac{AE}{EB}\cdot\frac{5}{3}\cdot\frac{2}{3}=1
\frac{AE}{EB}=\frac{9}{10}
より,
\vec{OE}=\frac{10\vec{a}+9\vec{b}}{19}
\frac{AB}{BE}=\frac{19}{10}
メネラウスの定理
\frac{OC}{CA}\cdot\frac{AB}{BE}\cdot\frac{EP}{PO}=1
\frac{2}{3}\cdot\frac{19}{10}\cdot\frac{EP}{PO}=1
\frac{EP}{PO}=\frac{19}{15}
\vec{OP}=\frac{19}{34}\vec{OE}=\frac{10\vec{a}+9\vec{b}}{34}
もうひとつ,内分点とかベクトルを使わない禁じ手がある.
この問題の特徴は「長さ」に拠らないところ.
つまり任意の三角形で成り立つ事柄である.
ということは,分かりやすい形に座標に押し込んでしまう手がある.
O(0,0),A(1,0),B(0,1)
\vec{OA},\ \vec{OB}は「基本ベクトル」となる.

他の点もC(2/5,0),D(0,3/8)
ここで,2直線AD,BCの交点Pの座標を求める計算は中学レベルである.
直線AD は傾き \frac{-3}{8}で点A(1, 0)を通り
y=\frac{-3}{8}(x-1)
直線BC は傾き\frac{-5}{2} で点B(0,1)を通り
y=\frac{-5}{2}x+1
交点は \frac{-3}{8}(x-1)=\frac{-5}{2}x+1
\mathrm{P}\left(\frac{5}{17}, \frac{9}{34}\right)
より
\vec{OP}=\frac{5}{17}\vec{a}+\frac{9}{34}\vec{b}
勝手に直交座標に当てはめてしまうが,もともとどんな三角形でも成り立つ問題だから,直交座標でも成り立つ.
直交座標は中学レベルだから,その方法で計算してしまおうということである.
直交座標に対して,もとの任意の三角形で作られるような空間.つまり絶対的な原点・座標と標準的な長さや角度などといった計量 (metric) の概念を取り除いた空間をアフィン空間という.
最後の解き方はアフィン空間をユークリッド空間に引き戻して解いているといえるが,ベクトルの期末テストでやったら減点だろう.入試でやってもたぶん大丈夫かな.
間違いの訂正と疑問を少々。
返信削除○三角形の図の下のチェバの定理の行から6行下の・・AB/BE=10/19とゆーのは間違いでしょーか?
○メネラウスの定理で、OC/CA・AB/BE・EP/PA=1の・・EP/PAとゆーのは間違ってるんでしょーか、それともメネラウスの裏事情なんでしょーか・・。
うちにも白いのと黒いのがいますよ。(ネコ)
では 失礼しました。
ありがとう
返信削除直しました.