以前も書いたけど,数学辞典でどうなっているか.
高校数学まで,つまり学校教育では「0は自然数ではない」で一貫している.
それは,自然数が「個数」をシミュレートしているからである.
「0個」は数えないで,「ない」という言葉を使えばよい.
しかし,数論や集合論では「和の単位元」という便利な数字なので,0を自然数とすることは「多い」.
したがって,専門書ではたいてい「本書では0を自然数を含む」などと断りを入れるのが通例になっている.
wikipedia は0を入れている.> 自然数 - Wikipedia
自然数の厳密な定義はなく,現代数学では自然数はペアノの公理系によって規定され,それは0を含む.
しかしペアノ自身の提唱した公理系では0含まない.
一人の数学者が本によって使い分けていることもある.便利なほうを自然数の定義とするのが通例で,その都度0を含むか含まないかを断ってから論理を展開するのが,数学の世界の常識である.
岩波の数学辞典を検索したところ,ペアノの公理は,ペアノを尊重したようで0を含んではいなかった.
しかし,項目番号118「計算可能関数」(p.333)には 自然数の全体N ={0,1,2,・・・}
とはっきり書いてあったし,
136「公理的集合論」p.377も「自然数0,1,2,…」となっていた.
数学の専門家は,どちらかというを0を自然数に含む書き方をする場合が多い.でもそれは信念とかではなく,「そっちが便利」程度の話.
数学が専門で無い人にとっては,「0は自然数か否か」が議論になることがあるようだが,数学者は「便利なほうを使う」で一貫している.
つまりどちらでもよい.
最近は0以上の整数を「非負整数」と言って,自然数と言わないこともある.これなら誤解が無いわけだ.数学者にとって名づけかたは二義的なものである.
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