2007年7月2日月曜日

logの感覚は桁数

10を底とする「常用対数」は数の感覚として便利.
インド人の数学能力の高さがいろいろ話題になっているが,そのひとつには高校の教育における対数感覚があると思う.インドではしつこく対数を教えるらしい.
日本の高校ではグラフを描いておしまい.数値計算の練習は全くやらない.

10^1=10 は 0 が 1桁.これを log 10=1 とかく.
10^2=100 は 0 が 2桁.これを log 100=2 とかく.
10^3=1000 は 0 が 3桁.これを log 1000=3 とかく.
10^4=10000 は 0 が 4桁.これを log 10000=4 とかく.

つまり常用対数は「0 の桁数」と思ってよい.

100×10000 は 2桁+4桁=6桁 で 1000000.
という感覚.つまり掛け算は log の足し算
log 100×10000 = log 100 + log 10000=2+4=6

10^4=10000
より log 10^4=4=4×1=4×log 10
つまり4乗は log の4倍.

では,「2」は何桁か.
log 2^10=10 log 2
を使って考える.
2^10=1024
だから log 2^10=log 1024 は約 log 1000=3
log 2^10=10 log 2=3
より log 2 は約 0.3
「2は 0.3桁」といえる.

10=5×2
つまり
log 10=log 5×2 =log 5 + log 2
1=log 5 + 0.3
より log 5 =0.7
「5は 0.7桁」.

log 4=log 2+log 2=0.3+0.3=0.6
log 8=0.9

ということで log 9 は 1にだいぶ近い.
その平方根は log では 2分の1だから.
log 3 =0.5 弱.

log 6=0.3+0.5弱=0.8弱

5×5=25 は 0.7+0.7=1.4 桁.
log 50=log 25×2 =1.4+0.3=1.7
はほぼ log 49=log 7^2=2 log 7
なので,
log 7=0.85

2 は 0.3桁.
3 は 0.5弱桁.
4 は 0.6桁.
5 は 0.7桁.
6 は 0.8弱桁.
7 は 0.85桁.
8 は 0.9桁.
9 は 1.0弱桁.
10 は 1桁.

という感覚があると,巨大数やミクロの数の概数がわかる.

「1光年って何km?」
光は1秒で30万キロ
つまり 0.5弱+5桁=5.5弱桁.
1分で60倍して,つまり 1.8弱桁を足して,
7.2桁.
1時間=60分で 7.2+1.8=9桁.
1日=24時間=ほぼ25倍で 9+0.7+0.7=10.4桁.
1年=365日=2.5で 10.4+2.5=12.9桁.
つまり13桁km.
というぐあいに,掛け算ではなく足し算でわかる.
実際は9兆5千万キロくらい.

地球の公転速度は?
えーっと
太陽と地球の間は8分少々.
8分は0.9+1.8=2.7桁秒
30万キロは 5.5桁なので,地球と太陽との距離は 8.2桁km
この6倍が1周の距離だから1周は 8.2+0.8=9桁km
1日で 9-2.6=6.4桁
1時間 6.4-1.4=5桁
1秒 5-1.8-1.8=1.4桁km
つまり0.4桁は 3 くらいだから1.4桁は30.つまり秒速30キロ
こんな雑な計算でもほぼどんぴしゃ.

関数電卓があれば,もちろんすぐに計算できる.
しかし,電卓の小窓の数字の並びを見るとの,実際のスケールを実感できるのとでは,その把握には雲泥の差がある
こうした「感覚」のあるインドのエンジニアが優秀なのは当然といえる.英語も普通にしゃべれるし.
インドの大学入試の数学は全部記述式らしいから,比べることすらおこがましいが.

小学生が計算練習をするように,高校生には三角関数,指数対数の数値計算をやらせたいのだが,教科書で精一杯.
かといって,理屈の方も中途半端で,そうした数の感覚のないまま,社会に出て行き,こういう事態になる.
東大の「産業総論」で露呈 日本人の知力崩壊が始まった

だいたい,入試に文系理系の区別があるのは日本くらいだと聞いたことがある.つまり日本以外の国では高校の教養を満遍なく持った人間が大学に進学するということ.分数計算のできない大学生は日本くらいだろう.

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