円の面積は \pi r^2 だから扇形の面積の公式もできる.
それを根拠に,x\to0 のとき極限
\frac{\sin x}{x}\to1
が導かれ,これを使うと sin,cos,tan の微分がそれぞれ cos,-sin,\frac{1}{\cos^2} が導かれる.
そしてその逆計算が積分で,
円の面積は \pi r^2 が求まる.
でもこれを使って,扇形や\frac{\sin x}{x}\to1を導いたりする・・・ということで論理の循環.
それじゃ,円の面積自体を積分を使わず,古代ギリシャの取り尽くし法でやろう.
円を無数の直径で分割し,半分の数の扇形を下に,残りを上にして互い違いに組み合わせると,長方形ができる.
辺の長さは,周の長さ\pi r^2と求まる・・・
この論拠は分割を多くすると,弧の長さと弦の長さがほとんど変わらないというところにある.
つまり弦の長さ x がほとんどかわらない.
ようするに x\to0 における極限が1であることを暗黙に使用している.
やっぱり循環している.
これを解決するには「どこかを定義にしてしまう」しかない.
円の面積を\pi r^2になった」と言いたいし.
それから,\frac{\sin x}{x}\to1 も「証明したい.」
ということで,大学以上の微積分の教科書では,級数展開で sin, cos を定義している.
\sin x=x-\frac{x^3}{3!}+\frac{x^5}{5!}-\cdots
もともとこれも,\sin x のマクローリン展開なので,
「\frac{\sin x}{x}\to1から sin の微分が cos」を使うわけで,循環しているわけだが,循環をとめるためにこの級数展開自体を「sinの定義」にしてしまうわけだ.
で,\frac{\sin x}{x}=1-\frac{x^2}{3!}+\frac{x^4}{5!}-\cdots \to 1は面積を使うことなく一瞬にして示され,sin の微分も cos になり,円の面積が積分で計算されるようになるわけだ.
このこと自体は,論理の循環を防止する「技術的なこと」であるから,高校の教科書程度では「しらんぷり」を決め込むのが教育的だし,本質的には古代ギリシャの取り尽くし法でOKなのである.
しかし,論理の整合性を重視する「数学科」の教育では無視できない状況になるため,こういったことに踏み込むことになる.
タマゴが先かニワトリが先か状態ですね^^;
返信削除実数の切断⇔コーシー列は収束⇔上限の存在⇔区間縮小法⇔中間値の定理⇔・・・
返信削除や,選択公理⇔整列定理⇔Zornの補題 といった同値もどれか一つを「公理」に採用しなければならないニワタマ状態です.