2004年10月20日水曜日

フェルマーの最終定理,証明のPDF

三平方の定理
\[ a^2+b^2=c^2 \]
を満たす整数はたくさんある.
\( 3^2+4^2=5^2 \), \(5^2+12^2=13^2\)

この両辺を \(c^2\) で割ると
\[ \left(\frac{a}{c}\right)^2+\left(\frac{b}{c}\right)^2=1 \]
整数a,y,z に対し有理数s=x/z,t=y/zとすれば,半径1の円 s^2+t^2=1 となる.
つまり,原点を中心とする半径1の円の上に有理数(分数)の点がたくさんある.


これは 円 \[ x^2+y^2=1 \] 上の点 (-1,0) を通る傾き t の直線
\[ y=t(x+1) \]
との交点を使って,\((x,y)\) をパラメトライズすると
\[ \left( \frac{1-t^2}{1+t^2},\, \frac{2t}{1+t^2} \right) \]
となる.
これは教科書のパラメータ表示の例題にあり、直線を円に代入して
  \(x^2+(t(x+1))^2=1\)
  \((1+t^2)x^2+2t^2x+t^2-1=0\)
交点の一つは\((-1, 0)\) より、この\(x\)の2次方程式は\(x=-1\)を解に持つから(組み立て除法などで)
  \((x+1)((1+t^2)x+t^2-1=0\)
と因数分解でき、もう一つの解
  \(x=\frac{1-t^2}{1+t^2}\)
がパラメータ表示となる。このとき、直線に代入して
  \(y=t\left(\frac{1-t^2}{1+t^2}+1\right)=\frac{2t}{1+t^2}\)
  \((x, y)=\left(\frac{1-t^2}{1+t^2}, \frac{2t}{1+t^2}\right)\)
を得る。

ここで t が有理数ならば,有理数の加減乗除は有理数なので,円上の点 (x, y) は有理点となる.よって円上には無数の有理点が存在することがわかる.有理数の分母を払えば,三平方の定理を満たす無数の整数が存在することがわかる.

円の方程式を t で書き直すと,
\[ \left( \frac{1-t^2}{1+t^2}\right)^2+\left(\frac{2t}{1+t^2} \right)^2=1 \]
両辺に \( (1+t^2)^2\) をかけて分母を払うと
\[ (1-t^2)^2+(2t)^2=(1+t^2)^2 \]
有理数 \( t=\frac{m}{n} \) と整数 \(m, n\) で書き直すと,
\[ \left(1-(\frac{m}{n})^2\right)^2+\left(2(\frac{m}{n})\right)^2=\left(1+(\frac{m}{n})^2\right)^2 \]
両辺を \( n^4 \)倍して分母を払うと
\[ (n^2-m^2)^2+(2mn)^2=(n^2+m^2)^2 \]
つまり3つの整数 \[ a=n^2-m^2 \] \[ b=2mn \]\[ c=n^2+m^2 \]  は三平方の定理
\[ a^2+b^2=c^2 \]
を満たす.この m, n に順次整数を入れていけば三平方の定理を満たす3つの整数を無限にたくさん見つけられる.
\( 3^2+4^2=5^2 \)
\( 5^2+12^2=13^2 \)
\( 8^2+15^2=17^2 \)
\( 20^2+21^2=29^2 \)
\( 9^2+40^2=41^2 \)
\( 12^2+35^2=37^2 \)
\( 11^2+60^2=61^2 \)


古代ギリシャのディオファントスはこうしたことをたくさん調べて「算術」という本にした.
フェルマー(1601-1665)はその本を読んだときにたくさんの書き込みをしている.
その中に
「n が3以上の自然数のとき,
\[ x^n+y^n=z^n \]
となるとなる 0 でない自然数\[ x,\, y,\, z \]の組み合わせがない」
と書き込み,さらに
「私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる」
とメモをした.
フェルマーの書き込みはこれ以外,本人の証明もあったり,この書き込みを遺族が整理して公表した後,次々に証明されたが,これだけが証明されず「フェルマーの最終定理」と呼ばれるようになった.>Wikipedia

1994年10月アンドリュー・ワイルズが証明.360年ぶりに解決を見た.
数学者のだれかが「これで宇宙人に会っても馬鹿にされずにすむ」といっていた.

さて,ワイルズの証明の論文は
ANDREW WILES. Modular elliptic curves and Fermat's last theorem.
これは,Princeton 大の Institute for Advanced Study で出版している
Annals of Mathematics 141 (1995), p. 443-551
に掲載されている.


最近 pdf を見つけた.ネット上で見ることができる.>wiles.pdf
といっても,完全に理解できるのは世界で数人.

>TVドキュメンタリー「フェルマーの最終定理」

4 件のコメント:

  1. x^2+y^2=z^2は変形後に半径は1ですが、すぐに直接原点中心とは言えないと思いますが。
    x^2+y^2=z^2であれば原点中心ですが半径はzになります。

                   2012/10/13

    返信削除
  2.  パラメータt 導入以降は参考になりました。
                    2012/10/14

    返信削除
  3. よろしければ、フェルマーの最終定理の証明をお送りします。

    kokaji222@yahoo.co.jp

    返信削除
  4. a^n+b^n+追加項A=c^n....n>2...p=c-bとする

    n=3..p=1の場合、

    a=(n/α)(p/β/γ)L+pまたは、-p
    にて、パラメータ、α.β、γ、ば、n=3.p=1なので、
    あα.β.γ.は、全て、1にて、

    a=(3/1)(1/1/1)L+1  (L=1.2.3.4.....)
    a=3L+1  a=4.7.10....
    b={(a^n)-(p^n)}/n

    a=4の場合
    b={(4^3)-(1^3)}/3=21
    c=b+1=22
    追加項A=3×p^1×21^2なので、係数の3は、二項定理の応用にて、求まるので

    4^3+21^3+3×21^2=22^3

    a=7の場合は
    b={(7^3)-(1^3)}/3=114
    c=115

    7^3+114^3+3×114^2=115^3

    4乗では、追加項が2つ、n乗ではn-2の追加項がある。
    以上、ピタゴラスの定理は、この定理の一部となり。フェルマー氏のピタゴラスの定理の一般化は、追加項にて、達成されることを、小生は、10年前に発見いたしまして、スーパーピタゴラスの定理と名づけました。何乗でも、自然数の組み合わせが、無数にあります。

    返信削除

スパム対策のため,コメントは,承認するまで表示されません。
「コメントの記入者:」は「匿名」ではなく,「名前/URL」を選んで,なにかニックネームを入れてください.URL は空欄で構いません.