2001年9月29日土曜日

発電

いま,数学Ⅱで sine cosine (三角関数)をやっていて,発電の話題になった.

電灯線は50Hzの交流である.50Hzというのは発電機の回転数と思って差し支えない.つまり毎秒50回転しているのである.(多極化して回転数を落とす場合もあるが,磁石のS極N極が毎秒50回入れ替わるのは同じ.)

以前「電力需要が増すと,発電機を速く回す」と勘違いしている人がいたが,速くまわしたら「50Hz」を保てないではないか.

今使っている電力,今発電されている.
みんなが電気を使い始めると,発電機に負荷がかかって回転数が落ちてくる.回転数を保つために,蒸気や水圧を上げて回転数を保持する.
50Hz地域のすべての発電機は,完全に同期して回転している.これも「不思議だ」という人がいたが,不思議でもなんでもない.
「あたりまえ」だと思うが,最近それをうまく説明する方法を思いついた.

ペダルと車輪が直結している,10人乗りくらいの,自転車をみんなでこいで,一定の速度を保つことを考える.
だれかが休んでも,他のみんなが回転数を保つように力を加えるから,速度を保てる.そのとき,休んでいる人のペダルは回りつづける.

つまり,発電機に力を加えるのを止めても,発電機がモーターになって空転を続けるから,回転数はかわらない.

逆に,だれかがパワーを加えても,他のみんなが回転数を保つために力を加えるのをサボる.発電機でも同様.

ここで,坂道に差し掛かったとしよう.つまり負荷がかかると回転数が落ちてくるから,みんなが力を加える.
逆に負荷がなくなれば,回転数が増すからみんなで力を抜く.
これは発電機でも同様.

つまり,10人のペダルはトルクの加え方はいろいろだが,完全に同期している.力を加えても抜いても回転数は変化しない.これがすべての発電機が同期している,うまい説明だと思うのだが・・・

夏,気温が上昇し,みんながクーラーのスイッチを入れ始めると,負荷が増すから回転数が落ち始める.回転数を保つために蒸気圧や水圧を増す.あるいは電力需要を予測して蒸気圧や水圧をあらかじめ増すということもあるだろう.
そして,どんなに力を入れてもそれが電力に変わるだけである.回転数が増えそうなら,他の発電所がサボって,一定回転を保つ.
これが発電機の同期の原理だと思う.

夏休みに袖ヶ浦の「Tepco 新エネルギーパーク」を見学したときに風力発電機があった.
風が強くても弱くても,羽根のピッチを変えて回転数を保つ構造なのだろうが,同じ回転数なのに,刻々と発電量が変化していた.数秒ごとに150kWになったり,3kWに落ちたりめまぐるしかった.おそらく風速が一定していなかったり,羽根が振動していたりするのだろう.
家族に質問されたけど,うまく説明できなかった.今度は自転車の原理で説明するかな.
linked: 1

2 件のコメント:

  1. 昔、電気の勉強をサボッた者です。ただ今、電工資格に向けて勉強しようかと思っています。
    それとは無関係に疑問です。
    発電機は不可がかかると回転数が下がると思います。現実に小型発電機も電気器具のスイッチをONにすると少しの間回転が下がります。
    機械側出力から見ると、回している発電機が重たくなるということですか?
    磁石の間を廻っているコイルが回りづらくなるのは何故でしょう?

    返信削除
  2. コメントありがとうございます.

    その通り.
    回している発電機が重たくなるということです.
    磁石の間を廻っているコイルが回りづらくなるのは,エネルギーを奪われるからです.
    なぜエネルギーが奪われるかはわかりません.それが観測される事実だからとしか言いようがありません.
    発電機は使う量しか発電しない

    物理学というか,科学はすべて「仮説」です.観測事実に合うような方程式を仮説として見つけるだけ.
    自転車が坂に差し掛かるとペダルが重くなるのは,エネルギーが奪われるからですが,「坂に差し掛かるとペダルが重くなる」事実の観測結果に対して,エネルギーの説明は仮説です.
    「0で割る」に見る科学的態度

    返信削除

スパム対策のため,コメントは,承認するまで表示されません。
「コメントの記入者:」は「匿名」ではなく,「名前/URL」を選んで,なにかニックネームを入れてください.URL は空欄で構いません.