「2人が力を合わせると,2倍,3倍の力が出る.」
「数学では 1+1=2 だが,世の中には 1+1=2 にならないこともある.」
「世の中,計算どおりには行かない.」
とまぁ,世の中の複雑さを,数学にかこつけて表現することは多い.
1+1=2
となる数学的証明は書いた.>ブログ記事
証明とは別に,
1+1=2
とする理由はほかにある.
数学は物事をシミュレートする言語である.
「2人が力を合わせると,2倍,3倍の力が出る.」
「数学では 1+1=2 だが,世の中には 1+1=2 にならないこともある.」
「世の中,計算どおりには行かない.」
という理由で,1+1=2 が無力なわけではない.
そもそも 1+1=2 となることがらをシミュレートするときにしか 1+1=2 を使わないといってよい.
つまり 1+1=2 となることに応用するときに限って,「1+1=2」なのである.
1+1=3 になろうが,1+1=10 になろうが,数学では知ったこっちゃない.
1+1=2 になることが数学の対象になるだけである.
「1+1=3」という人がいたら1万円札2枚渡すから,3万円分の金券を返してほしい.
「1万円札と1万円札を,3万円と交換」することに,何か他のストーリー(シミュレート)があるならともかく,そうでなければ,頭に来たり,心配したり,心が平穏ではいられなくなる.
「1万円札と1万円札を,2万円と交換」なら,心が動揺することはなく,それが「1+1=2」という人間社会を支えている.
「1万円札と1万円札を,3万円と交換」する社会なら,お金をくるくる回して,無限に増やすことができ,たぶん誰かが困るわけだ.
数学にも1+1=2 とならないシミュレーションはある.
論理や集合算をシミュレートするブール代数では
1+1=1
になる.これは「真または真」の真偽値は「真」のシミュレートといえる.
mod 2 の剰余類や,位数2の有限体
1+1=0
mod 2 とは2で割った余りを指す.
つまり奇数を2で割ると余り1,偶数は余り0なので,奇数を「1」偶数を「0」と表現すると
「奇数+奇数=偶数」は 1+1=0
「奇数+偶数=奇数」は 1+0=1
「奇数×奇数=奇数」は 1×1=1
「奇数×偶数=偶数」は 1×0=0
と表現できる.
これらは1+1=2とは限らないシミュレートの例.
もっと簡単に,2進法表記をすれば,1+1=10 という表記になる.(二進法の10 は十進法の2 であるが)
だから, 「2人が力を合わせると,2倍,3倍の力が出る.」といったことに,論理的な整合性があれば,数学の対象となり,1+1=2 or 3 はある.それをシミュレートするストーリーを考えればよいだけである.
本来,数学は完全に人間の精神世界のものであるので,このように大変自由なものである.
しかし,1+1=2 をシミュレートしていると約束しているときに,「1+1=0」 と書くのは×であるが.
すごいです!1+1=2の証明とともに読ませていただきましたが、面白かったです。プログラミングをかじっていて、ブーリアン演算はしょっちゅうやってるので、その例などは特によくわかりました。
返信削除50年以上前,中学生のころ TI の 7400 NAND GATE を使った数桁の固定小数点電卓の製作記事が電子工作の雑誌にあって,ブール代数の解説や,回路の論理を追ってわくわくしていましたw
返信削除https://en.wikipedia.org/wiki/7400-series_integrated_circuits