$\lim_{x\to 2}f(x)=5$
では
x→2 とは「x が 2 以外の値をとりながら 2 に限りなく近づくとき」
という意味で,f(2)=5 が定義されていなくてもよい.(f(2)=5 が定義されていれば,「f(x) は x=2 で連続」という.これが関数の連続の定義)
したがって,f(x)が5になることがないことから,lim になにか,あいまいなあやふやな印象を持つ人は多いようだ.
極限値は変数が近づく目標となる「定数」である.
さて、「5を目標に動く」とは
「5との差を、すべての正の数より小さくできる」
ということを意味する。(一致ではない)
問「5との差を0.2より小さくできるか」
答「x=2.023なら可」
問「5との差を0.0000007より小さくできるか」
答「x=1.99942なら可」
と必ず答えられるときに
$\lim_{x\to 2}f(x)=5$
と「定義」するのである.
これをε-δ論法 という.
(5との差を「ε」、x と 2 との差をδで表現することが多いため)
つまり
どんな小さい正の数εに対しても,ある正の数δが存在して,
|x-2|< δ ならば |f(x)-f(2)|< ε とできる.
とき
$\lim_{x\to 2}f(x)=5$
なのである.
「5との差を0に」といわれたらできなくてもOK(定義されていなくてよい)
「すべての正の数より小」でよい.
そして、「5」は定数でである.
その「定数5」を記号lim という記号で表す約束なのである.
平たく言うと,f(x)≒5 だが、lim f(x)=5 ということになる.
さて,0で割る計算 3/0 は定義されないが,x>0 で x→0 のとき,
$\lim_{x\to +0}\frac{3}{x}=+\infty$
とかいて,「関数 3/x は正の無限大に発散する」という.
これをもって,3/0 は無限と勘違いする人は多い.
0/0は定義されないが,分母も分子も0に収束する極限はいくらでもある.
x=2 で連続な関数では,x→0 ならば,f(x)-f(2)→0,x-2→0 であるが,
$\lim_{x\to 2}\frac{f(x)-f(2)}{x-2}=5$
が存在すれば,「5 を f(x) の x=2 の微分係数」と定義する.
極限はそこで関数が定義されていなくてもよいのだ.
だから定義されていないものに対して,極限操作で定義したことにすることはまったく無意味である.
したがって,0^0 は定義されていないのに,
$\lim_{x\to 0}x^x=1$
だからという理由で,0^0=1 とするのは,0/0を微分の定義で決めてしまうことと同じ間違いである.
小テストで,
「『1/n は正の数.正の数は0ではないのに極限が 0 であるのは納得できない.』という人に対してどのように説得しますか.」
という問題を出したことがあった.極限を正しく理解していないと説明できない.
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