2008年11月9日日曜日

繰り返す数列(その2)

昨日の記事で,
0, 1, -1, 0, 1, -1, ・・・
の一般項として,
$a_{n}=\frac{\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}-\left(\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}}{\sqrt{3}i}$
を3項間漸化式を用いて,何か高級そうな導き方をしたが,この結果は三角関数を使った
$\frac{2}{\sqrt{3}}\sin\frac{2\pi(n-1)}{3}$
と同値であることは,簡単な式変形で導かれる.

そもそも,
$\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}=\cos\frac{2\pi}{3}+i\sin\frac{2\pi}{3}$
であるから,de Moivre の公式,
$(\cos\theta+i\sin\theta)^n=\cos n\theta+i\sin n\theta$
で変形すれば,
$\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}=\cos\frac{2\pi(n-1)}{3}+i\sin\frac{2\pi(n-1)}{3}$
$\left(\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}=\cos\frac{2\pi(n-1)}{3}-i\sin\frac{2\pi(n-1)}{3}$
これらの差をとれば,
$=\left(\cos\frac{2\pi(n-1)}{3}+i\sin\frac{2\pi(n-1)}{3}\right)-\left(\cos\frac{2\pi(n-1)}{3}-i\sin\frac{2\pi(n-1)}{3}\right)\\=2i\sin\frac{2\pi(n-1)}{3}$
であるが,これは数列
0, i√3, -i√3, 0, i√3, -i√3, ・・・
なので,i√3で割れば,
$\frac{2}{\sqrt{3}}\sin\frac{2\pi(n-1)}{3}$
となる.


3つの数を繰り返す数列が等差数列の
1, 2, 3, 1, 2, 3, ・・・・
だからまだやさしいが,
1, 2, 4, 1, 2, 4, ・・・・
だとどうしたらいいかな.
$2^0,\ 2^1,\ 2^2,\ 2^0,\ 2^1,\ 2^2$
だから,指数が等差数列になる.
0, 1, 2, 0, 1, 2
は数列$\left\{1+\frac{2}{\sqrt{3}}\sin\frac{2\pi}{3}(n+1)\right\}$だから,
$\left\{2^{1+\frac{2}{\sqrt{3}} \sin\frac{2\pi}{3}(n+1)}\right\}$
なら,
1, 2, 4, 1, 2, 4, ・・・・
と並ぶ.

1, 5, 6, 1, 5, 6, ・・・・
ならどうしよう.
これは例の,有限数列を表す多項式は必ず存在するというのを使えばよさそうである.
有限数列 1, 5, 6
を表す多項式は,2次式$a_{n}=an^2+bn+c$で表すことができる.
$a_{1}=a+b+c=1$
$a_{2}=4a+2b+c=5$
$a_{3}=9a+3b+c=6$
を解いて,
$a=-\frac{3}{2},\ b=\frac{17}{2},\ c=-6$
より
$a_{n}=-\frac{3}{2}n^2+\frac{17}{2}n-6$
である.
一方,
1, 2, 3, 1, 2, 3, ・・・
と繰り返す数列は
$\left\{2+\frac{2}{\sqrt{3}}\sin\frac{2\pi}{3}(n+1)\right\}$
であった.
したがって,
1, 5, 6, 1, 5, 6, ・・・・
という数列は,
$\left\{-\frac{3}{2}\left(2+\frac{2}{\sqrt{3}}\sin\frac{2\pi}{3}(n+1)\right)^2+\frac{17}{2}\left(2+\frac{2}{\sqrt{3}}\sin\frac{2\pi}{3}(n+1)\right)-6\right\}$
である.

検算(別窓でgoogle電卓)
n=1 (-3/2)(2+(2/√3)sin(2π(1+1)/3))^2+(17/2)(2+(2/√3)sin(2π(1+1)/3))-6
n=2 (-3/2)(2+(2/√3)sin(2π(2+1)/3))^2+(17/2)(2+(2/√3)sin(2π(2+1)/3))-6
n=3 (-3/2)(2+(2/√3)sin(2π(3+1)/3))^2+(17/2)(2+(2/√3)sin(2π(3+1)/3))-6
n=4 (-3/2)(2+(2/√3)sin(2π(4+1)/3))^2+(17/2)(2+(2/√3)sin(2π(4+1)/3))-6
n=5 (-3/2)(2+(2/√3)sin(2π(5+1)/3))^2+(17/2)(2+(2/√3)sin(2π(5+1)/3))-6
n=6 (-3/2)(2+(2/√3)sin(2π(6+1)/3))^2+(17/2)(2+(2/√3)sin(2π(6+1)/3))-6

しかし,sin を使っていいなら,mod を使ってもいいわけである.
mod ならもっと簡単になる.
たとえば,整数を7で割ったあまりを考えるとき,37のあまりは2なので,
37≡2 mod 7
という書き方をする.
エクセルなどのmod 関数では,
mod(37,7)
で2が表示される.
この書き方をすれば,数列
1, 2, 3, 1, 2, 3, ・・・
の一般項は mod(n-1, 3)+1 である.

1年のうち31日まである月 1,3,5,7,8,10,12 の有限数列の一般項は6次式
$\frac{1}{360}(-5n^6+117n^5-1070n^4+4845n^3-11345n^2+13578n-5760)$
で表される.>以前の記事(有限数列を表す多項式は必ず存在する)
一方,
1,2,3,4,5,6,7
を繰り返す数列は,
mod(n-1, 7)+1
と書ける.

したがって,
1,3,5,7,8,10,12,1,3,5,7,8,10,12,1,3,5,7,8,10,12,・・・
と繰り返す数列は,
$\frac{1}{360}(-5(\rm{mod}(n-1, 7)+1)^6+117(\rm{mod}(n-1, 7)+1)^5\\ \hspace{10mm}-1070(\rm{mod}(n-1, 7)+1)^4+4845(\rm{mod}(n-1, 7)+1)^3\\ \hspace{10mm}-11345(\rm{mod}(n-1, 7)+1)^2+13578(\rm{mod}(n-1, 7)+1)-5760)$
と表されるだろう.

検算(別窓でgoogle電卓)
n=8
(1/360)(-5(((8-1) mod 7)+1)^6+117(((8-1) mod 7)+1)^5-1070(((8-1) mod 7)+1)^4+4845(((8-1) mod 7)+1)^3-11345(((8-1) mod 7)+1)^2+13578(((8-1) mod 7)+1)-5760)
n=9
(1/360)(-5(((9-1) mod 7)+1)^6+117(((9-1) mod 7)+1)^5-1070(((9-1) mod 7)+1)^4+4845(((9-1) mod 7)+1)^3-11345(((9-1) mod 7)+1)^2+13578(((9-1) mod 7)+1)-5760)
n=10
(1/360)(-5(((10-1) mod 7)+1)^6+117(((10-1) mod 7)+1)^5-1070(((10-1) mod 7)+1)^4+4845(((10-1) mod 7)+1)^3-11345(((10-1) mod 7)+1)^2+13578(((10-1) mod 7)+1)-5760)
n=11
(1/360)(-5(((11-1) mod 7)+1)^6+117(((11-1) mod 7)+1)^5-1070(((11-1) mod 7)+1)^4+4845(((11-1) mod 7)+1)^3-11345(((11-1) mod 7)+1)^2+13578(((11-1) mod 7)+1)-5760)
n=12
(1/360)(-5(((12-1) mod 7)+1)^6+117(((12-1) mod 7)+1)^5-1070(((12-1) mod 7)+1)^4+4845(((12-1) mod 7)+1)^3-11345(((12-1) mod 7)+1)^2+13578(((12-1) mod 7)+1)-5760)
n=13
(1/360)(-5(((13-1) mod 7)+1)^6+117(((13-1) mod 7)+1)^5-1070(((13-1) mod 7)+1)^4+4845(((13-1) mod 7)+1)^3-11345(((13-1) mod 7)+1)^2+13578(((13-1) mod 7)+1)-5760)
n=14
(1/360)(-5(((14-1) mod 7)+1)^6+117(((14-1) mod 7)+1)^5-1070(((14-1) mod 7)+1)^4+4845(((14-1) mod 7)+1)^3-11345(((14-1) mod 7)+1)^2+13578(((14-1) mod 7)+1)-5760)


この方法なら,一定の個数だけ繰り返す数列は,繰り返しの長さがいくつであっても,その一般項は必ずnのmod関数の多項式で表すことができるといえる.

>(つづく)

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