1999年10月18日月曜日

数学基礎論講義

という本にはまっている.(田中一之 他著 日本評論社)

一応,この分野は自分の専門だから,比較的楽に読める本なのだが,
ちょいと今まで読んだ本とは毛色が違って楽しい本だ.

「はじめに」の中の一文には

「専門家を目指すならこの程度の知識は宴会で酔っぱらってもそれんじられるくらいにマスターしておきたい.」

なんて書いてあるし,ある問題では,

「30分以内に解ければ有段者」

との但し書きがついていたりする.

最近の専門書は昔のように,「木で鼻をくくる」ようなものは少なくなってきた.
高木貞治の「解析概論」が名著といわれるのは
自由で自然な発想で書かれているからでなないかと思う.
(逆に独り言のような書き方で,私はきらいだ)



「木で鼻をくくる」数学書が増えたのは1960年代の「数学の現代化」の
おかげで,このころはブルバキ流の書き方がはやったのだと思う.
数学基礎論という分野はもっともブルバキ流の書き方が似合う分野だから,
この本のような楽しい本はなかなかなかったと思う.

でも,洋書は昔から読み手思いで,師匠からもらった
S.Kleene Introduction to MetaMathematics はとても読みやすかった.

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