以前は古い卒業生の調査書も,保存されているものを写して発行していた.しかしこれらの情報の保存期間は5年ということで,今年からそのまま写して発行しないことになった.
卒業生は,受験する学校の必要書類に「高校の調査書」とあるので,高校に申し込む.今までは「こんな古い調査書,意味は無いな」と思いながらも,発行はしていた.
「まぁ,無いわけではないから,発行するのが親切」
くらいの乗りである.
公募推薦の推薦書の発行を依頼した卒業生もいたが,古い卒業生のため本人を知る先生が皆無であった.さすがにそのときは,出願する学校に発行不可能であることを伝えたが.
考えてみれば,卒業後5年を超えた生徒の成績等を入学者選抜や入学後の参考に使うこと自体がおかしい.それこそ「個人情報の濫用」にあたる.
「高校を卒業した」という事実だけで,十分なのだ.
正確には学校教育法施行規則に
>「学籍に関する記録については、その保存期間は、二十年間」
とあるので,入学と卒業の部分と修得単位数を残し,それ以外は斜線,備考欄に
「学校教育法施行規則による保存期間を経過し,指導に関する記載無し」
と書いて,発行することになった.
「調査書」の法的な位置づけは「指導要録の写し」に当たるが,20年保存の義務は「学籍に関する記録」だけで,「指導に関する記録」つまり成績や行動の記録は残す必要は無い.残すのは入学や卒業のことと修得単位数くらい.成績や出欠や所見は全部削除.>参考
いままでは「残す必要は無い」が,「残すのは親切」という解釈で古い卒業生でも調査書を発行していたわけだ.
ところが,昨今の個人情報保護の観点からは,「残すのは個人情報の不当な蓄積」に当たる可能性が出てきたので,今後は要録の写したる調査書も,学籍に関する記録の部分以外は消すことにしたのだ.
さらに,20年経過したものは,学籍に関する記録もないことになり,卒業生の持つ卒業証書だけが唯一,学籍を証明することになるのかな.
まぁ,今のところ杓子定規にすべてを破棄することはしないだろうが,今後は学校の持つ過去の生徒の個人情報も,いろいろ考えていかなければならない時代になったことは確かだ.
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