2006年8月3日木曜日

数学の出張

で,津田沼の大学へ.
大学
午前中見学,午後講演.

見学のはじめは工作センターのウォーターカッター
3千気圧,マッハ2.5の水流で何でも切る.
トリビアの泉で日本刀と対決したり,伊藤家の食卓でおにぎりを切ったり,
「テレビに出るのはたいていうちのマシンです」
とのこと.普段は研究用のサンプルを切断したりが主な仕事.

コンピュータセンターで,システムや教育の説明を聞いて,ロボット開発の最先端の見学.やはりロボットはすごい.先日テレビでもやっていたし.


それから,鯨追跡人工衛星.

「小さい衛星を安く打ち上げる」
のがコンセプト.50kgの小さい衛星を,大きな3トンくらいの衛星の打ち上げに便乗させてもらったそうだ.
そして,部品はすべて民生用の流用.「宇宙での利用保証」をメーカーに求めたら,それこそねじ1つ数万円になる.民生用部品の一つ一つを自分たちでチェックして使える部品を探す.元々日本製は信頼性が高く,宇宙で使えるものが多いとのこと.
安 く上げるための「重力を使った姿勢制御」も面白い.衛星の姿勢制御はガス噴射で行うのが普通だが,安い衛星では無理.長いアームを伸ばし,先端に3kgの ウェイトをつけ,潮汐力を使って常に地球に同じ面が向くようにする.つまりこれは月がつねに同じ面を向けているのと同じ.
実はこれだと1/2の確率で倒立してしまうそうだ.で,もしそうなったら「地磁気」を利用してひっくり返すシステムが乗っていたが,今回は1発で正しい向きになった.

鯨にとりつける発信器も,いろいろ話が尽きない.
打ち込む針は,太さ数ミリ長さ数センチだが,人間にとってのピアス程度の大きさ.材質も人間の義歯の金具に使われているもので,内部に抗生物質が入っていて少しずつ染み出す構造.
そこから,丈夫な紐で発信器がぶら下がるのだが,針を打ち込んでから紐を通じて泳ぐ鯨に取り付ける際,文章での説明は不可能だが,「東急ハンズ」で買ってきた金具をうまく利用して,「するするする・・・カチャ」っとはまる.「おぉ!」

発信器は直径10cm長さ30cmの茶筒の両端を丸めたような形に,細い400MHzのアンテナがついている.
鯨がもぐると,電波は通じないがその間,内部のコンピュータに水温や水圧の記録.浮かんだときに衛星と通信.
う しろにプロペラがついていて,鯨が泳ぐとそれが回転する鯨力発電.そのプロペラ軸は,内部の発電機にはつながってはいない.つないだらもぐったときの高水 圧に耐えるように,丈夫なパッキンが必要だが,それをしたら,軸が回転しなくなる.プロペラは発信器外部の強力磁石を回転させ,その磁力の回転で内部に発 電するしくみ.つまり回転力は磁力で伝えられる.
この発信機の取り付け部分は真鍮製で,数年で腐食し鯨からはずれる設計だが,「針だけはゴメン」だそうだ.

午後の講演は
「ロボット技術で理科離れを食い止める」
話.これは面白かった.
理科離れを食い止める最前線にいる身としては,とても参考になった.結局は「人としての魅力」で惹きつけるしかなさそうだが.

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