とある無線ブログの書き込みで,
「ユニークなコールサイン」
というのがあって,自分の中ではひそかに突っ込みw
「ふつう,コールサインはユニーク(唯一つ)だろう」
もちろん,この場合は,
「(独特な、珍しい、面白い)コールサイン」
という世間一般の正しい使い方をしているわけで,間違いとかそういうことではなく,自分の突っ込みは筋違いである.
いわゆる 8N6KR8AA みたいなだろう.>以前の記事
自分も,それは「独特な、珍しい、面白い」コールサインと思う.
ただ,数学地方の方言では,「ユニーク」は「ただ一つ」という意味である.
数学地方では,世間のイメージからはだいぶずれた使い方をする.たとえば
「解がユニークに定まる」
なんて書くと,どんな「独特な、珍しい、面白い」解が定まるのかと思いきや,面白くもない解がただ一つ定まるだけである.
数学地方では,「ユニークに存在 uniquely exsist」という言い回しは多くて,たとえば,
「単位元はユニークに存在」
べつに珍しい存在ではなく,掛け算における「1」とか足し算における「0」なので,きわめてありふれているものである.
和の単位元の場合は,足しても変わらない数なので,どんな数 a に対しても,たとえば単位元を e と記して,
a + e = a, e + a = a
を満たす.
このような性質の単位元が2個あるとして,
a + e1 = a, e1 + a = a …(1)
a + e2 = a, e2 + a = a …(2)
を満たしちまったとする.
(1)式で, a = e2 を代入すると,
e2 + e1 = e2, e1 + e2 = e2
(2)式で, a = e1 を代入すると,
e1 + e2 = e1, e2 + e1 = e1
これら2つの式を見比べると,
e1 = e1 + e2 = e2
となるしかない.つまり単位元はユニークである.(おもしろくも珍しくも無いけど,唯一つである.)
(定義)このようなユニークな単位元を「0」と書くことにする.
整数論では次のような性質からスタートする.
(除法の定理) 整数 a および正の整数 b に対して,
a = bq + r (0≦r<q)
を満たす整数 q, r の組がユニークに存在する.
こんな風に,数学地方では,ユニークだと,対象をなにか捉まえた感じがするだ.その先に well-defined の概念がある.>以前の記事
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