整数も有理数も代数方程式の解も自然数の番号が振れることを示した.
つまり,どんな手を使ってでも「並べ」たら,1番から番号が振れる.だから実数も並べてしまえばよい.並べる方法が思いつかないのは「未熟だから」かもしれない.
ところが
実数は「番号が振れた」と仮定しても,必ず余る.どうしても余る・・・
そう,「コンパスと定規で角の三等分ができない」ように,「実数に番号を振っても余る」ことが示されてしまう.
カントールの対角線論法.
実数の0から1の間の小数だけを使う.
つまり
0.6092387410932…
0.5712093847122…
0.0928374112332…
……………
に「番号を振った」と仮定する.
1番: 0.6092387410932…
2番: 0.5712093847122…
3番: 0.0928374112332…
……………
さて,ここで次のような新しい数y を考える.
小数1桁目は1番の1桁目の6とは違う5
小数2桁目は2番の2桁目の7とは違う6
小数3桁目は3番の3桁目の2とは違う1
……………
と作って,
y=0.561…
この y は0から1の間の小数なので,1番,2番,3番と「番号を振った」並びの中に出てくるか?
出てこない.なぜなら
y の1桁目は1番と違う
y の2桁目は2番と違う
y の1523桁目は1523番と違う
y の12038471023桁目は12038471023番と違う
というぐあいに
y のn桁目は必ずn番と違う
ので,「番号の中には出てこない」
それじゃ,その新しい数yを1番にして,2番以降の番号を振りなおしたとする.
1番: 0.5612342343234…
2番: 0.6092387410932…
3番: 0.5712093847122…
4番: 0.0928374112332…
……………
すると,同じ作り方でまた新たな数yを作ることができる.
つまり,「自然数の番号が振れた」としても,必ずその番号に出現しない「新しい実数」を作ることができる.
常に新しい番号を振りなおす羽目に陥ってしまう.
こうして,
自然数の濃度<実数の区間0から1の濃度
になる.
区間0から1と実数全体は簡単に1対1になる.たとえば関数
$\tan\left(\pi x-\frac{\pi}{2}\right)$
で1対1になるので,区間と実数全体の濃度が同じになり,
自然数の濃度<実数の濃度
数直線が2本ある「平面」,3本ある「立体」は1本の数直線と1対1にする方法がある.数直線を何本用意しても,1本の数直線の濃度と同じである.
このように「1対1」の概念は非常に強力.
しかし平面上に書かれる「すべての関数」の集合が実数の濃度より大きいことが示される.(連続関数全体は実数と同じになるが)
一般に
「ベキ集合の濃度は,元の集合の濃度より大」
であることが示される.「すべての関数」の集合が「ベキ集合」にあたる.
ベキ集合ってのは「ある集合の部分集合を要素とする集合」
S={a, b} の部分集合は 空集合,{a}, {b}, S でこれを要素とする集合はつまりSのべき集合は
P(S)={空集合,{a},{b}, S}
でもとのSと1対1とつけると余ってしまう.有限集合の場合は見てすぐわかるが,無限集合の場合はやはり「対角線論法」で余ることを示す.
実は,実数の集合は,自然数の集合のベキ集合と1対1になることも示されるから,
自然数の濃度<実数の濃度
ともいえる・・・
なんてことを20年前の初任のころこの本で勉強しなー.
こんな初歩から始まって,最後は有名なGodelの不完全性定理まで.おもしろかった.
大晦日だって言うのに数学~~~(╬☉д⊙)
返信削除さすがうじ!!!.
テレビはつまらんし,やることないし・・・そゆときは数学
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