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2023年2月7日火曜日

sin の区分求積法

高校では「微分と積分は互いの逆操作である」は定義として習う。
でもこれは「微分積分学の基本定理」と言って、17世紀にニュートン、ライブニツらによって発見された。定義ではなく定理(性質)である。

教育的には、微分を先に学んだあと、「積分は微分の逆」と決めて、計算だけはできるようになるが、歴史的には積分が先である。

「微分の逆の計算できる」が発見される前、曲線に囲まれた図形の面積は計算不能だったかというとそういうことはなく、円の面積が \pi r^2 とか、放物線に囲まれた面積などは2200年前にはアルキメデスの取り尽くし法(数列の極限)で知られていた。

350年前に微分ができるようになって、それまで、超絶技巧の数列の極限として計算されていた積分が、「簡単な微分の逆の計算できる」となった。
これが、産業革命を後押しして、現代の便利な世の中につながったのである。

入試問題の数列の難問は、昔の積分の超絶技巧から作られているかもしれない。
この式変形のワザは、入試問題にありそうである。(入試問題にするにはガチャガチャしている係数をシンプルにするなど工夫は要る。)

備忘録

\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin x \,dx=\left[-\cos x\right]_0^{\frac{\pi}{2}}=(-\cos\frac{\pi}{2})-(-\cos 0)=0-(-1)=1
と、「微分の逆」でチョチョイとできる積分を、区分求積を使って、昔の苦労を味わう。

積分区間 0\le x \le\frac{\pi}{2}n 等分する点を、区間の幅 \frac{\pi}{2n} で左から
  \frac{\pi}{2n}, \frac{2\pi}{2n}, \frac{3\pi}{2n}, \frac{4\pi}{2n}, \cdots
と取って、小区間に分割する。


小区間に作った長方形の高さは左から、
  \sin\frac{\pi}{2n}, \sin\frac{2\pi}{2n}, \sin\frac{3\pi}{2n}, \sin\frac{4\pi}{2n}, \cdots

だから、長方形の面積の合計は、底辺がすべて \frac{\pi}{2n} より、
S_n=\frac{\pi}{2n}\sin\frac{\pi}{2n}+\frac{\pi}{2n}\sin\frac{2\pi}{2n}+\frac{\pi}{2n}\sin\frac{3\pi}{2n}+\frac{\pi}{2n}\sin\frac{4\pi}{2n}+\cdots+\frac{\pi}{2n}\sin\frac{n\pi}{2n}
  =\frac{\pi}{2n}\left(\sin\frac{\pi}{2n}+\sin\frac{2\pi}{2n}+\sin\frac{3\pi}{2n}+\sin\frac{4\pi}{2n}+\cdots+\sin\frac{n\pi}{2n}\right)

両辺に \sin\theta をかけるのが、超絶技巧。
S_n\sin\theta
 =\frac{\pi}{2n}\left(\sin\frac{\pi}{2n}+\sin\frac{2\pi}{2n}+\sin\frac{3\pi}{2n}+\sin\frac{4\pi}{2n}+\cdots+\sin\frac{n\pi}{2n}\right)\sin\theta
 =\frac{\pi}{2n}\left(\sin\frac{\pi}{2n}\sin\theta+\sin\frac{2\pi}{2n}\sin\theta+\sin\frac{3\pi}{2n}\sin\theta+\sin\frac{4\pi}{2n}\sin\theta+\cdots+\sin\frac{n\pi}{2n}\sin\theta\right)

ここで cos の加法定理
 \cos(\alpha+\beta)=\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta
 \cos(\alpha-\beta)=\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta
の両辺の差を取って、
 \cos(\alpha+\beta)-\cos(\alpha-\beta)=-2\sin\alpha\sin\beta
より、 sin の積は
 \sin\alpha\sin\beta=-\frac{1}{2}\cos(\alpha+\beta)+\frac{1}{2}\cos(\alpha-\beta)
と、cos の差になる式変形を利用して、各項の sin の積を cos の差にする。
つまり,
  \sin\frac{\pi}{2n}\sin\theta=-\frac{1}{2}\cos(\frac{\pi}{2n}+\theta)+\frac{1}{2}\cos(\frac{\pi}{2n}-\theta)
  \sin\frac{2\pi}{2n}\sin\theta=-\frac{1}{2}\cos(\frac{2\pi}{2n}+\theta)+\frac{1}{2}\cos(\frac{2\pi}{2n}-\theta)
  \sin\frac{3\pi}{2n}\sin\theta=-\frac{1}{2}\cos(\frac{3\pi}{2n}+\theta)+\frac{1}{2}\cos(\frac{3\pi}{2n}-\theta)
とそれぞれ変形していく。

-\frac{1}{2} をかっこの外に出して、\frac{\pi}{2n}\times(-\frac{1}{2})=\frac{-\pi}{4n} より、

S_n\sin\theta=\frac{-\pi}{4n}\left(\cos(\frac{\pi}{2n}+\theta)-\cos(\frac{\pi}{2n}-\theta)\right.
      +\cos(\frac{2\pi}{2n}+\theta)-\cos(\frac{2\pi}{2n}-\theta)
      +\cos(\frac{3\pi}{2n}+\theta)-\cos(\frac{3\pi}{2n}-\theta)
      +\cos(\frac{4\pi}{2n}+\theta)-\cos(\frac{4\pi}{2n}-\theta)
       \cdots
      \left.+\cos(\frac{n\pi}{2n}+\theta)-\cos(\frac{n\pi}{2n}-\theta)\right)

ここで、k=1,\ 2,\ 3,\ \cdots について、
   \frac{k\pi}{2n}-\theta=\frac{(k+1)\pi}{2n}+\theta
となる \theta を作る。(つまりプラスマイナスの cos の絶対値を同じにして、消し去ろうという魂胆)
   \frac{k\pi}{2n}-\frac{(k+1)\pi}{2n}=2\theta
より、
   2\theta=\frac{k-(k+1)\pi}{2n}=\frac{-1\pi}{2n}
   \theta=\frac{-\pi}{4n}

すると、
S_n\sin\frac{-\pi}{4n}=\frac{-\pi}{4n}\left(\cos(\frac{\pi}{2n}+\frac{-\pi}{4n})-\cos(\frac{\pi}{2n}-\frac{-\pi}{4n})\right.
      +\cos(\frac{2\pi}{2n}+\frac{-\pi}{4n})-\cos(\frac{2\pi}{2n}-\frac{-\pi}{4n})
      +\cos(\frac{3\pi}{2n}+\frac{-\pi}{4n})-\cos(\frac{3\pi}{2n}-\frac{-\pi}{4n})
      +\cos(\frac{4\pi}{2n}+\frac{-\pi}{4n})-\cos(\frac{4\pi}{2n}-\frac{-\pi}{4n})
       \cdots
      \left.+\cos(\frac{n\pi}{2n}+\frac{-\pi}{4n})-\cos(\frac{n\pi}{2n}-\frac{-\pi}{4n})\right)
    =\frac{-\pi}{4n}\left(\cos\frac{\pi}{4n}-\cos\frac{3\pi}{4n}\right.
      +\cos\frac{3\pi}{4n}-\cos\frac{5\pi}{4n}
      +\cos\frac{5\pi}{4n}-\cos\frac{7\pi}{4n}
      +\cos\frac{7\pi}{4n}-\cos\frac{9\pi}{4n}
       \cdots
      \left.+\cos\frac{(2n-1)\pi}{4n}-\cos\frac{(2n+1)\pi}{4n}\right)
プラスマイナスが打ち消しあって、途中がごっそり 0 となり、先頭と最後だけが残る。
  S_n\sin\frac{-\pi}{4n}=\frac{-\pi}{4n}\left(\cos\frac{\pi}{4n}-\cos\frac{(2n+1)\pi}{4n}\right)

  S_n=\frac{\frac{-\pi}{4n}}{\sin\frac{-\pi}{4n}}\left(\cos\frac{\pi}{4n}-\cos\frac{(2n+1)\pi}{4n}\right)
n\to \infty における極限を求める。

まず、\frac{\frac{-\pi}{4n}}{\sin\frac{-\pi}{4n}}\frac{-\pi}{4n}=x とすると、n\to \infty なら、x\to 0 より、  
  \frac{\frac{-\pi}{4n}}{\sin\frac{-\pi}{4n}}=\frac{x}{\sin x}\to 1 
(円の弧長 xx に対する弦長 \sin x は、弧長 xが小さいほど長さが近くなる)

\cos\frac{\pi}{4n}\to \cos 0

\cos\frac{(2n+1)\pi}{4n}=\cos(\frac{2n}{4n}+\frac{1}{4n})\pi=\cos(\frac{1}{2}+\frac{1}{4n})\pi
\to \cos(\frac{1}{2}+0)\pi=\cos \frac{\pi}{2}

S_n=\frac{\frac{-\pi}{4n}}{\sin\frac{-\pi}{4n}}\left(\cos\frac{\pi}{4n}-\cos\frac{(2n+1)\pi}{4n}\right)
\to 1(\cos 0 -\cos \frac{\pi}{2})=1(1-0)=1





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