2010年8月30日月曜日

一家に一本,ダミーロード.

先月,自作したダミーロード.50Ω 15W.
50Ω 15W ダミーロード
ダミーロードとは,擬似的に電力を消費するだけのもの.

送信機の試験,調整はダミーロードを用いなければならないことが,法律で定められている.>電波法第57条
自作無線機ならともかく,市販品の無線機は故障でもしない限りこういう使い方はしない.
これをどう使うかというと,「飛ばないアンテナ」として使う.(笑)
抵抗体の先に数センチのひげをつけているのがそれ.これをハムフェアに持っていって,知り合いとごく近くで送受信しようと製作した.

FT-817の最小出力0.5Wで,7MHzを半波長ダイポールアンテナで送受信するとして計算.
送信出力P[W],ダイポールに対する相対利得G[dB]が,距離R[m]に作る電界強度E[V/m]は
$E=\frac{7\sqrt{P\times10^{\frac{G}{10}}}}{R}$(アイソトロピック(等方的)アンテナに対する絶対利得なら√49 のところを√30 に直す)
なので,半波長ダイポールアンテナから出力0.5Wで出した電波は,距離10mで,
$E=\frac{7\sqrt{0.5\times10^{\frac{0}{10}}}}{10}=0.495$
これを,7MHz半波長ダイポールアンテナで受信すると,アンテナ実効長(波長÷π)は13.6mだから,
0.495×13.6=6.73V
が発生する.

40dBμV=1μV×10^(40÷10)=0.000001V×10000=0.01V
が信号強度9だから,6.73Vはその673倍で,S9+28dB ということで,メーターが振り切れるほどの電界になってしまう.
これでは受信機が飽和し,音が歪む.もちろん,長さ21mもの同調したアンテナから受信した場合なので,それこそ10cmくらいのアンテナにしてしまえば,受信に関しては問題は無い.(感度が落ちるだけ)
ところが,10cmのアンテナを送信に使うと,送信回路とマッチング(同調)していないので,送信電力がアンテナから反射して送信回路に戻り発熱し,回路が過熱し危険.
これを回避するためには,送信回路のインピーダンスと同じ50Ωの抵抗で電力を消費してしまえばよい.これが遊びに使うダミーロードの目的.

まずは,50Ω1本でもよいが,発熱に余裕を持たせるために,300Ω6本並列とか,750Ωの15本並列で50Ωにする.ネットで検索すると,
「500Ω丁度がないので510Ω10本で約50Ω」
というのもあったが,50の倍数の抵抗を使えばよい.>マルツパーツ館
150Ω3本,200Ω4本,300Ω6本,750Ω15本,1.5kΩ30本,1.8kΩ36本,2kΩ40本,・・・
本数が多いほど耐入力は大きくなるけれど,大きくなって作るのが面倒になる.
今回は750Ω1Wを15本なので,耐入力15W.
50Ω1W15本
同軸ケーブルを剥き,外部導体の編組と芯線を15本の抵抗でつなぐ.抵抗から切り落とした線を上から巻いて半田付けして,取れないようにする.

抵抗値を測ると,50.0Ω.
ダミー抵抗50.0Ω
酸化金属皮膜抵抗,抵抗許容差:±5% とあるが,1本1本測ると,749Ωから751Ωくらいに収まっている.それが15本で平均化して,ジャスト50Ω.

こうやって使う.
FT-817 ダミーロード
これで至近距離で受信しても,全く飽和しない.

で,ハムフェアやその飲み会には持っていったけど,他のことが面白くてそれどころじゃなかったw

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