待合室には試験の説明が書かれている.これについて説明しよう.(試験当日の試験官の説明も,これにしたがって説明される.)
1.試験の方法
試験は,正確な法令履行及び正確な運転操作によって,安全かつ円滑な走行ができるかどうかについて行います.
試験官も,「この文にすべてが集約されている」と説明していた.つまり道路交通法に従うことが求められ,それを支える運転技術,さらに第一に安全で円滑であることが求められるということ.
くろべえは運転技術は未熟で「円滑」ではなかったが,「法令履行」と「安全」に自信あり.
くろべえ3回目のとき1年前にGSX1100で免許取り消しになった人が受けに来ていた.彼はその日7回目といっていた.運転はものすごくうまく「円滑」さは十分.スラロームもものすごく速いし,一本橋もとても安定していたが,その日も落ちた.私に言わせれば,安全確認や合図のタイミングににムラがある感じがした.つまり法令履行に難がある.
運転技術の減点項目は少ないが,法令履行には大きな減点項目はたくさんある.技術よりも法令履行を気にしなければ合格しない.逆に,くろべえのように運転がへたっぴでも,目に見える形(走行ライン,課題のタイム,エンスト)に出たところでなければ減点はない.法令履行は「知識が有無とその実行」だから勉強すればノーミスが可能.多少の運転技術の減点でも合格できる.
合格は満点である必要はない.減点30点までOK.くろべえの合格は自己採点では減点25点.これは運転が下手なことから出た減点である.くろべえは完璧な法令履行の自信があった.それさえ完璧ならへたくそでも十分に合格できるのである.
(1)採点の範囲
採点は,乗車するときから下車するときまでのすべてについて行います.(100m はならし走行とします.)
はじめに採点外のならし走行ができる.「これは体をバイクに慣らすだけだから,練習はしないように」との注意がされる.くろべえは2回目のときこのならし走行で乗車するときに VFR を倒してしまった.
採点は乗車するとき,つまり車両の前後の安全確認からスタートするということ.
(2)安全確認の方法
安全確認は原則として直接目視及びバックミラーによること.
こう書かれているが,何が何でも「直接目視」を心がける.というより,「目視をしている」とアピールすることが大事で,実際には見ていなくても「頭をしっかり向ける」ことが大切.
クランクの出口では右方向は直前まで体が向いていた方向なので,目視は終わっているはずだが,そこを流すと「安全不確認」になる.
したがって,車体が外周に垂直になったときに初めて「右!左!」と頭を振ってアピールしなければならないと思う.
(3)コース
コースはすべて車道とみなします.
歩行者はいないが,すべて車道.一本橋上も波状路もスラロームも急制動もすべて車道だということ.
(4)上り坂の走行及び発進
指示した場所で停止し,直ちに発進すること.
試験官:「・・・と書かれているが,線も何もないので坂の途中の好きな場所で止まってください.止まったら,発進方法は皆さんにお任せします.」
「発進方法は皆さんにお任せします.」ということころに『正しい発進操作をせよ』と読み取った.つまり右合図,右後方確認,正面を向いた発進.
(5)指示速度による走行
周回コースの速度指定区間においては,指示速度(40km)に従って走行すること.
これは「40km/h 制限」と勘違いして30km/h で走行して落ちる人もいるようだ.コースの写真を見てもわかるが,速度を規制する標識はない.速度標識がない車道は 60km/h まで大丈夫.つまり 39km/h では落ちるが,55km/h では大丈夫なのである.くろべえは4回の試験で45km/hから50km/hで走ったが,そのことで注意は受けなかった.
(6)駐車時の措置
二輪車は,前車輪の先端を停止目標(ポール等による.)に一致させ,サイドスタンドを立てること.
開始前,試験官が車両をその場所に置くので,タイヤの位置を覚えておけばよいと思う.
サイドスタンドの出し入れするタイミングは車両を降りているときである.またがってから,スタンドを上げたりするのはだめです.
(7)特別コースの走行
いわゆる,一本橋,スラローム,波状路,急制動
運転技術はここで試される.それも「時間や距離」といった客観的な数字だけである.つまりこれ以外で,どんなに円滑で技術がいくらうまくてもそれによって得点が加算されるわけじゃないので,関係ない.
合格するための最低限の技術を持ち合わせていれば,へたくそでいいのである.
自転車に乗れれば十分である.
ア 直線狭路コースの走行
直線狭路台手前の指定地点で一旦停止し,直線狭路台を着座姿勢により,大型自動二輪車にあっては10秒以上,普通二輪車にあっては7秒以上,普通二輪車で総排気量0.125リットル以下の限定の付されたものにあっては5秒以上,の所要時間で走行すること.
通称「一本橋」.幅30cm,高さ5cm,長さ15mを大型は制限時間10秒以上.秒速1.5m=時速5.4km 早歩き程度である.
制限時間は小数切捨てで,10秒以上が課題.減点は9秒が5点,8秒が10点,7秒が15点という具合である.
ここも車道.
試験官の説明では「パイロンに前輪の先端をあわせて停止してください.指示は出さないので,自分のタイミングでスタートしてください.」
スタートしたら勢いをつけて,一本橋に乗る.安定するまでスピードを落とさない.安定したらブレーキをかけて粘る.バランスを崩したらハンドルで立て直そうとはしないこと.たいてい失敗して落ちる.ハンドルではなく加速して安定させる.
落ちてしまったら「通過不能」で試験中止である.通過すれば5秒で通過しても25点の減点ですむ.落ちるくらいなら通過を心がけるべきである.
はとぽっぽを1コーラス歌えば10秒である.
イ 連続進路転換コースの走行(大型二輪車及び普通二輪車に限る.)
立体障害物の相田を順にS字状に,かつ,大型二輪車にあっては7秒以下,普通二輪車にあっては8秒以下の所要時間で走行すること.
通称「スラローム」,制限時間は7秒以内.
秒数は小数切り上げで,大型は7秒以下.7.1秒は切り上げで8秒.減点は8秒は5点,9秒は10点,・・・・である.
くろべえはすこぶる苦手,自分でも「補助つき自転車状態」だと思うで,コツは書かない.体重移動? 車体を傾ける? なにそれ.
ウ 波状路コースの走行(大型二輪車に限る)
立ち姿勢により,できる限り遅い速度(5秒以上)で走行すること.
また,時間不足の減点は,どんなに速くても5点である.とにかく走りきることだけに集中.これは幅もあるし,5秒は結構早く時間もある.余裕は十分あると思う.
エ 指定速度からの急停止
指定速度(大型二輪車及び普通二輪車は40キロメートル毎時,小型二輪車は30キロメートル毎時の速度とする.)を保ち,指定位置(急制動開始線という.)で急制動を行い,車輪を録させずに急停止区間内(白線地点)で安定した停止をすること.
区分 指定速度 乾燥時 湿潤時
大型 40km/h 11m 14m
普通 40km/h 11m 14m
小型 30km/h 8m 11m
試験官の説明
「40km/h 以上の一定速度で走り,前輪がパイロンにかかったら,ブレーキをかけ,タイヤをロックさせずに指定の線の手前で止まってください.前輪がロックすれば,簡単に転倒します.怪我のないように気をつけてください.普通にじわっと強くかければ,十分に止まれますから.」
実際,その通り.「じわっと強く」.転倒するのはガツンとかけて前が沈み込む前に前輪がロックしてしまうからだろう.前が沈むまで(0.1秒くらい)じわっと.前が沈めばぎゅ!
また,後輪はブレーキランプ(採点用の後輪ランプ)がつけばよい.下手にかけるとロックして減点である.前輪だけで十分.
くろべえは小型用の8mの線の1m手前で止まりました.かなり余裕がある.
2.試験の中止
(1) 危険行為等
次に掲げる事項に該当したときは,試験を中止することがあります.
逆行(大),発進不能,指定速度到達不能,急停止区間超過,暴走,転倒,通過不能,脱輪(大),接触(大),右側通行,後車妨害,信号無視,進路妨害,指定場所不停止,安全間隔不保持,踏み切り不停止,安全運転義務違反
逆行(大)
1回目のとき,普通二輪で右折手前で10m以上センターラインを超えて試験中止になった人がいた.
発進不能 同じ場所で4回(だったかな?)連続エンストするとこれになる.
指定速度到達不能 外周路の40km/h指定の場所.39km/hでは試験中止になる.速度制限は60km/hなので,45km/hを目標にすればよい.
急停止区間超過,暴走 これはまずないと思う.
転倒 20年前に普通二輪(当時は中型二輪)を受けたときに,クランクの出口でシフトアップのつもりがニュートラルに.加速のつもりで車体を倒すものの,加速せず転倒.シフトミスに注意.
今回の2回目に,クランクでエンジンをふかしすぎ,脱輪,転倒した人がいた.
通過不能 一本橋から落ちるとこれ.
脱輪(大) クランクでエンジンをふかしすぎで脱輪した人がいた.
接触(大) クランクや,スラロームでパイロンに触れて動かす.
右側通行 キープレフトしないとこれ? センターラインを超えると「逆行」だからな
後車妨害 どんな場面でそうなるのかな?出発点で他の車が近づいているのに発進するとか?
信号無視 論外だけど,緊張のあまり見落とす?
進路妨害 優先道路でないのに,交差点に入るとこれ.
指定場所不停止 一時停止で停止線を1mmでも出るとこれ.停止線の手前2m以内に停止すればよいので, 1mくらいの余裕を持って停まるようにすれば,停車前に多少バランスを崩してもはみ出すことはない.試験での一時停止はすべて「望楼から真横から見る」位置なので,はみ出すと一目瞭然.
安全間隔不保持 車間距離かな.
踏み切り不停止 止まらなかったり,停止線を1mmでもはみ出すとこれ.
安全運転義務違反 その他,危険な行為ということかな.
(2) 減点超過
減点した合計点が合格基準に達しない場合.
試験官より
「いずれの場合も,スピーカで指示します.出発点に戻るときも,しっかりコースを確認しながら戻ってください.そうして次につなげるようにしましょう」とのアドバイスがあった.
(3) 指示違反
試験実施のために試験官が必要な指示をしたのにもかかわらず,これに従わない場合.
きょどってはだめよ.
試験官の最後の説明は終了後について.
「出発点に戻ったら,望楼へあがって来てください.合格者は全員が終わるまで待合室で待ってもらいます.不合格の場合はワンポイントアドバイスをします.次の受験者がいるので,たくさんはアドバイスできませんが,次回の試験に役立ててください.」
たとえば,くろべえの第1回のときのアドバイスは,
「レバー類を操作しないときは手をかけないようにしましょう.一本橋7秒台,スラローム10秒台.スラロームは入り方を間違えてしまいましたね.もっとよく練習しましょう.」
レバーに手をかけたまま走ると乗車姿勢10点,一本橋7秒台で15点,この時点で25点.そのあと,スラローム10秒台で20点の合計45点となり,帰還の指示が出たわけだ.
第 2回は開口一番「障害物の通り方は知っていますか.」通り方を説明すると,「その通り運転しましょう.それと左折のときにふくらんでしまいました.スラロームは9秒台.もっと練習しましょう.」左折はバランスを崩しそうになって大回りを2回で10点,スラローム9秒台では10点.そして大きかったのが,後半の障害物側方通過でセンターラインを超えなかったためなんと20点!これがなければ合格した可能性があった.
技術的なことはともかく,法規履行ができなくて減点されるほどばかげたことはない.確実な法規理解と履行が重要になる.
第3回は日記の通り一本橋で落ちるまでは指摘することがないほめられた.アドバイスは一本橋のコツだけ.その知識はもちろん,くろべえもあった.知識があってもそれを支える技量がないだけなのだ.
大型自動二輪免許 一発試験 合格マニュアル(幕張免許センター) Index
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