2006年10月27日金曜日

iの立方根(虚数単位の3乗根)

先日,虚数単位i の平方根を求めてみたが,同様に4通りの方法でできるかな?


まずは,旧教育課程にあった,複素数平面の de Moivre の公式を使ったもので,これは当時の教科書の例題にあるだろう.

<解1>
i の絶対値 |i|=1 で,偏角は 90度+360度×n
ということから,
3乗根の絶対値は1の正の3乗根なので 1.
偏角は3で割って 30度+120度×n
つまり
$\cos(30^\circ+n\times120^\circ)+i\sin(30^\circ+n\times120^\circ)$
で,n=0,1,2 が解となり,
$\cos30^\circ+i\sin 30^\circ=\frac{\sqrt{3}+i}{2}$
$\cos150^\circ+i\sin 150^\circ=\frac{-\sqrt{3}+i}{2}$
$\cos270^\circ+i\sin 270^\circ=-i$



つづいて,x=a+bi とおいて素朴に求める.

<解2>$x^3=i$において,$x=a+bi$とおき,
$x^3=a^3+3a^2bi+3ab^2i^2+b^3i^3=a^3+3a^2bi-3ab^2-b^3i$
$x^3=i=0+1i$より,実部と虚部を比較し連立方程式
$a^3-3ab^2=0,\ 3a^2b-b^3=1$
を解く.
$a^3-3ab^2=a(a^2-3b^2)=0$より
$a=0,\ a^2-3b^2=0$
$a=0$のときは,$3a^2b-b^3=1$から$b^3=-1$で,$b$は実数だから,
$b=-1$
ゆえに
$x=a+bi=0-1i=-i$
$3a^2-b^2=0$のときは
$b^2=\frac{a^2}{3}$
$b=\pm\frac{a}{\sqrt{3}}$
これを$3a^2b-b^3=1$に代入して,(マイナスは省略)
$3a^2\left(\frac{a}{\sqrt{3}}\right)-\left(\frac{a}{\sqrt{3}}\right)^3=1$
$3a^3\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)-\frac{a^3}{3\sqrt{3}}=1$
両辺$3\sqrt{3}$倍して
$9a^2-a^3=3\sqrt{3}$
$8a^3=3\sqrt{3}$
$a^3=\frac{3\sqrt{3}}{2^3}$
$a$は実数なので,
$a=\frac{\sqrt{3}}{2}$
ゆえに,$a=\pm\frac{\sqrt{3}}{2}$
これを$b=\pm\frac{a}{\sqrt{3}}$に代入する.プラスマイナスを考えると4通りの解がでるが,3乗が+iになるのは,
$x=a+bi=\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i$
$x=a+bi=-\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i$
である.
したがって,虚数単位の立方根は
$\frac{\pm\sqrt{3}+i}{2},\ -i$


<解3> 因数分解で解く.
$x^3=i$
$i^3=-i$であることに気づけば,因数分解は簡単で,
$x^3=-i^3$
$x^3+i^3=0$
$(x+i)(x^2-ix+i^2)=0$
$(x+i)(x^2-ix-1)=0$
$x+i=0,\ x^2-ix-1=0$
$x+i=0$より$x=-i$
$x^2-ix-1=0$を解いて,
$x=\frac{i\pm\sqrt{3}}{2}$

<解3-2> iを解消してから複2次式の因数分解で解く.
$x^3=i$
の両辺を2乗して,
$x^6=-1$
$x^6+1=0$
$x^6=(x^2)^3$と考えて
$(x^2+1)(x^4-x^2+1)=0$
$x^2+1=0,\ x^4-x^2+1=0$
$x^2+1=0$より,$x=\pm i$,3乗してiになるのは -i
$x^4-x^2+1=0$の両辺に$3x^2$を足して,
$x^4+2x^2+1=3x^2$
平方完成
$(x^2+1)^2=(\sqrt{3}x)^2$
$(x^2+1)^2-(\sqrt{3}x)^2=0$
$(x^2+1+\sqrt{3}x)(x^2+1-\sqrt{3}x)=0$
2つの2次方程式を解いて,
$x=\frac{-\sqrt{3}\pm i}{2},\ \frac{\sqrt{3}\pm i}{2}$
この4つのうち,3乗して i になるのは,
$x=\frac{-\sqrt{3}+ i}{2},\ \frac{\sqrt{3}+ i}{2}$


$x^6=-1$
において,両辺を2乗すれば,
$x^{12}=1$
ということで,iの立方根は1の原始12乗根である.
つまり
$x^{12}-1=(x-1)(x+1)(x^2-x+1)(x^2+x+1)(x^2+1)(x^4-x^2+1)$
と因数分解でき,1の原始12乗根であるiの立法根は
$x^4-x^2+1=0$
の解のひとつである.
そして,この因数分解からわかるのは,1の12乗根には「12の約数」乗根がすべて含まれるということである.
また,この12個の解を複素数平面上に並べれば,正12角形の頂点になるり,その頂点を選んで正「12の約数」角形ができる・・・というのは複素数平面の知識だ

<解4> 最後に二重根号をはずす要領では
$\sqrt[3]{i}$
$=\sqrt[3]{(-i)^3}$
$=-i$
くらいしか求まらない.これは<解1>のリテラシーがあれば,残りの二つはこの解に1の虚数立方根
$\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}$
をかけたものも解になることがわかり,残りの2つが求まるわけだ.

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