単純な三角比だけでやろうとすると,山の真下までの距離がわからないと,計算できないから,「どうするのだろう」と思う人も多いようだ.
現代はハンディGPS を山頂に持参して数字を読み取ればいいわけだが,そんなもののない昔の地図にも山頂の標高が記されていた.
原理的には,
1.平地で距離が測れる2点(標高もわかっている)を選ぶ.
2.その2点から山を見上げる角度,2点を結ぶ直線と山を見上げる直線との角度を測る.
これだけで,あとは計算でわかる.
例
A地点の標高が12.4m,AB間の距離を測量して52.3m.
山頂Pとして,
AからPを見上げる(水平面との)角3.23度,角ABP=88.7度,角BAP=89.4度
を測量.
三角形ABPについて,角APB=180-88.7-89.4=1.9度
正弦定理より
AB/sin1.9度 = AP/sin86.8度
AP = AB sin86.8度/sin1.9度
= 52.3×0.998440764÷0.0331551784= 1574.97123m
山頂の真下にある,Aからの水平面と同じ高さの点をHとすれば,
PH = APsin3.23度 = 1574.97123×0.0563442797 = 88.7406195m
Aの標高12.4mを足して,101.1m
ついでにAから山頂の真下Hまでの距離は
AH=APsin3.23度=1572.46923m
実際はさらに,地球が球面であることの補正もしなければならない.
地球の半径R=6378.1km
地表の接線方向の距離a=1572.46923m
Hの,Aの高さのとの球面誤差h
について,三平方の定理より
(R+h)^2=R^2+a^2
h^2+2Rh-a^2=0
h=-R+√(R^2+a^2)
=-6378100+√(6378100^2+1572.46923^2)=0.193839813m
よって
101.1+0.2=101.3m
これは数学I「三角比」の練習問題レベル.知ってしまえば「なーんだ,たいしたことはない」
これならわかりますw^^
返信削除「なんのために数学なんか勉強するのだろう」と思う人は多いのですけどね.
返信削除こういった,世の中の「ちょっと複雑なこと」は数学や理科の知識があれば,たいていは想像のつくことなんです.