2018年1月31日水曜日

人間の感覚は対数的

先日,対数の授業で配ったプリント.


1 オクターブ高いと人間は「同じ音」という感覚を持つ.そのとき振動数の比は 1: 2 になる.鍵盤(対数)が1 オクターブの等間隔に並ぶと,振動数(真数)は1:2:4:… と2 の累乗倍になる.

1 オクターブには12 個の半音がある.半音の比を $1:𝑥$ とすると,半音を12 個上げると1 オクターブ<(2 倍)だから,$𝑥^{12} = 2$ を満たす.

$\log_{10} 𝑥^{12} = \log_{10} 2$

$12 \log_{10} 𝑥 = \log_{10} 2$

$\log_{10} 𝑥 =\frac{1}{12}\log_{10} 2 =\frac{1}{12}\times 0.3010 = 0.0251$

$𝑥 = 1.06$


ドミソの振動数

ド→ミ は,半音4 個分 $𝑥^4 = 1.06^4 = 1.262$
ド→ソ は,半音7 個分 $𝑥^7 = 1.06^7 = 1.503$
1:1.26:1.503 はおよそ 1:1.25:1.5 = 4:5:6 に近い.振動数の比が簡単な整数比に近い時に響きがよく「和音」という.
ピアノのように半音を 1:1.059463 に調律するのを平均律,ドミソを完全な整数比に調律するのを純正律という.
ついでに,等差数列の逆数を「調和数列 harmonic sequence」というが,1本の弦のドミソの長さの比が等差数列4, 5, 6 の逆数の比$\frac{1}{4}$, $\frac{1}{5}$, $\frac{1}{6}$ となることからきているのだろう.
つまり調和数列(弦の長さの比)の逆数が,等差数列(振動数の比).
 

音圧レベル

個人差はあるが,1000Hz の音が人間の耳に聞こえる最も小さい音を「最小可聴音圧」といって,気圧の変化が20μPa=0.0000002hPa と国際的に定義されている.

「最小可聴音圧の何倍」の対数をデシベルと言い,気圧変化が,10 倍ごとに,音圧レベルが20dB ずつ増える.音圧レベル20dB で基準の10 倍の気圧変化,40dB で100 倍,60dB で1000 倍,80dB で10000倍,100dB で100000 倍である.

1 つの音源から音が出ている時,それと同じ音源を用意して2 つで音を出すと,気圧変化(真数)は1 つの時の2 倍となっているが,そんなにでかい音になったようには感じない.このとき音圧レベル(対数)は6.02dB だけ増加するが,それが人間の感覚に近い.(60dB の音源2 個で 66dB になる.)


このように人間の感覚は「対数的」なのである.

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