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2014年9月19日金曜日

数学的帰納法

数学B,数列では数学的帰納法を扱っている.
でも,難しいからと,学校によっては,扱わないこともあるようだ.
大学の先生に聞いても,
「高校でやっているかやっていないかが,如実にわかる」
という.自分の生徒が,近い将来そんなことで苦労させたくないので,自分は,どんな生徒を相手にしても,扱いたい題材である.面白いしw>以前の記事「すべての人ははげ」

そもそも,数列の冒頭の等差数列,等比数列の一般項の公式も実は「類推」に近く,証明していない.

初項a,公差dの等差数列\{a_{n}\}は,
a_{1}=a
a_{2}=a+d
a_{3}=a+2d
a_{4}=a+3d
から,
a_{n}=a+(n-1)d
もちろん,「第n項は 公差d を (n-1)個,初項に足すから」ということで証明と言ってよいだろうけど.

まぁ,高校の公式は,証明なし扱うことも多い.あってもせいぜい「説明」程度.
もちろん,それは「教育的配慮」なので,一概にダメというわけではない.証明に立ち入ることで,木を見て森を見ない状況になりかねない.

でも数学的帰納法は,論証の方法というか,「頭の使い方の訓練」の一つとして,是非とも触れたいのである.

生徒にとって難しいのは,数学的帰納法そのものではなく,その中で行われる(等式や不等式の)証明だろうと思う.
だから自分は,数学的帰納法の導入では,今までの出てきた易しい公式を証明して,証明のスタイル,頭の使い方の流れを身につけてもらうようにしている.
その意味で,等差数列や等比数列の一般項の証明は,とてもよいと思っている.

[定理]
初項a,公差dの等差数列\{a_{n}\}の一般項は,a_{n}=a+(n-1)dである.
(証明)
[1] n=1 のとき,
右辺=a+(1-1)d=a+0d=a=a_{1}=左辺
より成り立つ.(・・・あくまで,「等式の証明」である)
[2] n=k のとき成り立つと仮定する.つまり,
a_{k}=a+(k-1)d が成り立つと仮定する.
この両辺に d を加える.(等式の性質:A=B ⇔ A+C=B+C )
a_{k}+d=a+(k-1)d+d
このとき,等差数列の定義a_{n+1}=a_{n}+dより
左辺=a_{k}+d=a_{k+1}
また,
右辺=a+(k-1)d+d=a+(k-1+1)d\\=a+((k+1)-1)d
(・・・恒等変形)
したがって,
a_{k+1}=a+((k+1)-1)d
が成り立つ.
ゆえに,n=k+1 のとき成り立つ.
[1],[2]より,すべての自然数nついて,等差数列の一般項は,a_{n}=a+(n-1)dである.

質問「a+(k-1)d+d=a+kd-d+d=a+kd から,a+kd=a+(k+1-1)d をどうやって思いつくの?」
これは数学的帰納法にかぎらず,証明全般に言えること.
証明は結論の形から考えるのが常套手段である.>以前の記事「結論からさかのぼる」
つまり結果の形
a_{k+1}=a+((k+1)-1)d
をはじめに,最後の行に書き,そこからさかのぼるように証明を書くのである.
証明の流れと,それを書く思考の流れは,普通は一致しないと言ってよい.
補助線の思いつき方と同じである.>以前の記事「ラストシーンから作る」

さて,我々教員は,
「生徒は答案が書けない」
と嘆くけれど,それは答案の書き方を訓練していないから当然だと思う.
答案というのは作文そのものであるから,答案や証明を書く練習というのは,「段取り良く作文を書く練習」でもある.
数学が「公式を覚えて,当てはめるだけ」と勘違いしている人は多いだろうけれど,本当は作文の書き方につながる,言語教育の一端を担っているのである.

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