2006年9月21日木曜日

饋電

テクノロジーの話題.
「饋」見慣れない字である.
電車に電力を供給することを「饋電」(きでん)というらしい.

首都圏(常磐線では取手まで)など直流では,変電所から架線で電車に饋電し,レールで変電所へ戻ってくる.

交流も同じだと思っていたがレールを流れる電流は,ところどころで,架線近くの電線に電流を「吸い上げる」らしい.



直流では電圧が一定なので,雑音にならないが,交流は振動しているので,近くの電話線などの通信障害になる.
それを避けるには,行きと帰りの2本の電線を近づければ,互いに雑音を打ち消しあう.
行き帰りの2本が,直流のような架線とレールでは距離がありすぎるため,架線近くの電線に吸い上げて,電流を通す.

吸い上げるには電線をつないだだけではだめ(両方に流れてしまう)で,レールの電流を0にするために,トランスを使っている.都市部に使われている直流では,トランスは意味がないので,これは交流だけの技術である.

トランスの組み合わせで,レールに電流が流れない仕組みを理解するには,電磁気学(電磁誘導)の知識が必要だな.いわゆる,虚数が出てくる電磁気学.

当初はBT(ブースタートランス)饋電で,これはデッドセクション(トランスが変わって架線が存在しない区間)があり,そこでアークが発生して架線切断の事故が起きたらしい.

デッドセクションを短くするために,初期の新幹線は2両の1ユニットにパンタ1個で,他のユニットと高圧は絶縁し独立させた.
つまり,デッドセクションを通過するユニットだけ一瞬電源が切り替わるだけで,他のユニットには饋電されるから,常磐線のように停電はしない.
しかし,ユニットに1つのパンタでは離線が多く,16両編成に8個のパンタが火花ぱちぱち新幹線であった.

現在はAT(オートトランス)饋電で,デッドセクションはない.
したがって,今の新幹線はユニットごとに絶縁することなく,全車両に高圧電源がつながっていて,パンタも1編成に2本しかない.つながっている2本は,同時にはほとんど離線しないので,火花もほとんど出ない.

ちなみに「ブースタートランス」の意味は「吸い上げ変圧器」で,利用目的から来ている.
「オートトランス(単巻き変圧器)」はトランスのコイルの巻き方の種類から来ていて,利用目的はもちろん吸い上げ(ブースター)である.

さらに,逆位相の帰線には対向列車の架線を使うらしい.これも交流の電磁気の技術.おもしろいなー・・・と思うのは私だけ?

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