2000年8月8日火曜日

数学おもしろランド実況

普段の授業はコメディアンですが,久しぶりに大道芸をやってたのしかった(^^).

まずは,向かい合わせた大きなパラボラの鏡の一方で電球をつけ,もう一方のパラボラの前で紙を燃やして人寄せをする.
「はい,そこのきみ! パラボラってなぁに?」
「・・・(え?ぼく?)・・・アンテナ」
「そうだね.・・・おかぁさん中華なべのことじゃありませんよ(笑).パラボラアンテ鍋でもありませんよ(笑).こんどNHKが集金に来たら『あれは中華なべを屋根で干してるんです』なんて言い訳しようと思ってますね?(爆笑)
パラボラというのは,光や電波を集めることが出来るんですね.キャンプに行って火がつかなければ,中華なべにアルミ箔を貼れば太陽の光で芋の一つくらいは焼けますよ.お正月ならおお餅も焼けますね.やきもちですね.あ,皆さん引いてますね.(笑)」
「さぁこの形は何かな?」
「・・・円錐」
「すごい!君,天才だ.よく知ってるねぇ.ごほうびに,円錐一つあげる」
「・・・」
「いらないよなぁ,こーんな紙を丸めただけのやつ.頭にかぶるとピエロの帽子!(笑)三角帽子をひっくり返して玉を載せると・・・」
「アイスクリーム」
「そうそう,円錐はアイスのコーンだね.このコーンを真横に切ると円.斜めに切ると・・・」
「楕円!」
「そうだね.楕円.もっと斜めに切って,コーンの横と平行に切るときにできる切り口をパラボラっていうんだよ.平行を英語で言うとなぁに?」
「・・・」
(スキーの物まねをすると)
「パラレルターン.パラレル」
「そうそう,平行はパラレル.パラレルだからパラボラ.パラボラは物を投げたとき出来る形で英語でいうと『放物線』です.」
「・・・(英語?)」
「おっ とごめん『放物線』は日本語.もっと縦に切ると双曲線,反比例のグラフです.大昔のギリシャでは円錐の切り口の3種類の曲線は知られていましたが,パラボ ラが物を投げた線だと見抜いたのはガリレイ,ハレー彗星の軌道のように惑星の軌道が楕円だと観測結果から見抜いたのはケプラー.古代ギリシャでは円錐の切 り口が自然現象の中に出てくるとは夢にも思ってないんです.
円錐の切り口はおうちにカクテルグラスがあれば見れますよ.カクテルグラスにコーラを 注いで・・・お酒はだめだよ.傾ければ楕円になります.放物線や双曲線を見ようとするとダ~っとこぼれてしまう(笑)ので,コップを洗うときに洗い桶に水 をためてずぼっと水中に入れてみてください.ぜひ自分で見てね.
惑星の軌道は楕円とわかっても宇宙は『天球という天井に星が電球のように光っていて,その中で惑星はうろうろしている.』という宇宙観です.天動説でも地動説でも.
と ころがニュートンは計算によって惑星の軌道は円錐の切り口,つまり楕円以外の無限に伸びた双曲線になり得る事も突き止めたんです.観測でわかるのは戻って くる惑星や彗星だけですね.科学のすごさは計算で観測されないことの予測が出来ることなんです.ニュートンによって,戻ることなく無限に飛び去る天体が予 測され『宇宙は無限に広がっている』というようにそれまでと宇宙観がガラッと変りました.
実際現代では,惑星探査機ボイジャーが双曲線軌道を描きながら地球から遠ざかっています.」(あれれ?また人寄せしないと・・・)

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