正四面体といえば,その真ん中に炭素原子,頂点に水素原子が並ぶメタンの形である.
その水素の腕の角度を計算してみたくもなる.これは数Iレベル.
炭素原子が重心Gにあり,∠AGD が腕の角度だ.
正四面体の辺の長さが 1 なら,
$\mathrm{AM}=\mathrm{DM}=\frac{\sqrt{3}}{2}$
である.
Gは△BCD の重心だから,
$\mathrm{DH}:\mathrm{HM}=2:1$
より
$\mathrm{DH}=\frac{2}{3}\cdot\frac{\sqrt{3}}{2}=\frac{\sqrt{3}}{3}$
$\mathrm{AH}=\sqrt{1^2-\mathrm{DH}^2}=\frac{\sqrt{6}}{3}$
△MAD を取り出して考える.
Hは四面体の重心だから,
$\mathrm{AG}:\mathrm{GH}=3:1$
より
$\mathrm{AG}=\frac{3}{4}\mathrm{AH}=\frac{3}{4}\cdot\frac{\sqrt{6}}{3}=\frac{\sqrt{6}}{4}=\mathrm{DG}$
あとは,△GAD に余弦定理を適用して,∠AGD=θなら
$\cos\theta=\frac{\mathrm{AG}^2+\mathrm{DG}^2-\mathrm{AD}^2}{2\mathrm{AG}\cdot\mathrm{DG}}=-\frac{1}{3}" $
を得る.
ということで,cos の値はとてもすっきりしたものになる.
この角は度数法では切りのいい値にはならないが,数値計算.
マクローリン展開は,
$\arccos x=\frac{\pi}{2}-x-\frac{1}{6}x^3-\frac{3}{40}x^5-\frac{5}{112}x^7-\frac{35}{1152}x^9-\frac{63}{2816}x^{11}\cdots$
なので,これに$x=\frac{-1}{3}$ を代入すればよい.
$\arccos \frac{-1}{3}=\frac{\pi}{2}-\frac{-1}{3}-\frac{1}{6}\left(\frac{-1}{3}\right)^3-\frac{3}{40}\left(\frac{-1}{3}\right)^5-\frac{5}{112}\left(\frac{-1}{3}\right)^7-\frac{35}{1152}\left(\frac{-1}{3}\right)^9-\frac{63}{2816}\left(\frac{-1}{3}\right)^{11}\cdots$
google電卓 に計算させれば,1.91063322 である.
これはラジアンなので,度数法に直せば,
1.91063322 ÷ π × 180 = 109.47122 度
もちろん,最初から arccos(-1/3) を検索窓に入れてもよい.
arccos(-1/3)
うぃんどうずの電卓ならもっといっぱい桁数を出してくれる.
109.47122063449069136924599933996...度=109度28分16秒394284...
60進展開なら1:49.28:16:23:39:25:22:4:51:46:9:3....
およそ 109.5ど
109.5度は覚えてないけど,「中心角のcos が -1/3」なら覚えてる.
この角度が整数でないので,「なぜこんなハンパな?」と思う人が多いようであるが,1周360度で表した角度ではたまたまハンパになるだけで,cos の値は -1/3 というハンパにならない角の大きさといえる.
切りの悪い109.4712206344907...=およそ 109.5度を分度器で測るのは面倒だが,cos=-1/3 を作図するのはたやすい.コンパスと定規で作図可能な角度である.
つまりこういう大きさ.
直線a 上の点Aを中心とする任意の半径の円を書き,直線との交点をO,Bとする.
Bを中心とする半径AOの円を書き,Aではない方の円との交点をCとする.
これで,OCの3等分点A,B の完成.
あとは,OBの垂直2等分線と,OCを半径とする中心Oの円を書き,それらの交点をEとすれば,必要な角度が完成.
実際に使うなら,厳密にコンパスと定規のみで作図するのではなく,半径30cmの円を描き,中心から10cmのところに印をつけて,半径との垂線と円との交点を求めるのが手軽である.
分度器を使うよりよほど正確.そもそも分度器などいらない.
この角度を6個用意してくっつければ,メタンの形.
とってもわかりやすく参考になりました
返信削除これを元ネタに記事を書きました.
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